気管支炎

気管は吸い込んだ空気が肺へ向かうための空気の通り道です。
管状になっており、その先は気管支といって木の枝のように細かく分かれていき、その先端には肺胞といって血液中の二酸化炭素と酸素を交換しています。

しかし、気管支の表面やその付近の組織が炎症を起こして腫れあがると、空気の通り道が狭くなり息が苦しくなってしまいます。

これが気管支炎です。

 

 

症状

はじめの方や症状が軽い場合にはタンはともなわない乾いた咳、いわゆる空せきを繰り返すようになります。
空せきの場合、頭を下に向けて、おう吐するような仕草で咳をします。
例えるなら咳の後、嗚咽を漏らす感じです。

これは繰り返すうちに咳の刺激によって、本物の吐き気を誘発することもあります。

症状が重くなると痛みがでるため喉の周辺を触られることを嫌がります。
また、少しの運動で咳がでるようになります。
仔犬では育成に影響がでたりします。

 

 

急性気管支炎

急性気管支炎の場合には、のどに痛みを感じるようになったり、発熱するといった症状が見られるようになります。
これらの原因が気道粘膜に炎症を起こすためです。

  • ウイルスや細菌による感染
  • アレルゲン
  • 異物やホコリ、たばこの煙を吸い込んだとき
  • 線虫類などの寄生虫が気管支へ入り込んだとき

この他にも、喉に刺激や悪影響を与えるようなものならば原因と考えられます。

気管に原因物質が入り込んで炎症が起こると、身体は大量の粘液を分泌することでこれらを押し出そうとします。
原因物質をからめとってタンや咳という形で体外に排出します。

急性気管支炎の場合には、それに加えて喉の痛みを覚えるようになる、発熱といった症状もあらわれるようになります。

 

慢性気管支炎

慢性気管支炎は急性気管支炎が繰り返し起こることで、1年のうち2カ月以上咳が連続する場合に慢性気管支炎と診断されます。
もちろん他に疾病がない場合です。

喉が詰まったような仕草と痰がからまったような湿った咳が特徴で、のどに刺激があると咳が出てしまいます。

咳が続き長期間にわたって気管に負担をかけると、気管のまわりは腫れるために呼吸がしにくくなります。
そのため呼吸は浅くなり時として呼吸困難を引き起こして、酸素欠乏状態であるチアノーゼが見られる場合があります。

 

症状が悪化すると

  • 食欲不振
  • 元気がなくなる
  • 呼吸困難
  • 運動を嫌がるようになる
  • 失神する

症状の進行により、元気がなくなり、食欲が減退します。
喉の刺激によって咳がでてしまうため、散歩を嫌がったりします。

慢性気管支炎は傾向として、中高年齢の小型犬に発症しやすい。
悪化すると気管支拡張症を発症することがあります。

ウイルスや細菌による気管支炎の場合、悪化すると肺炎などを起こして死亡することもあります。

 

 

咳が誘発される状況

  • 散歩や運動の後
  • 食事や水を飲んだ後
  • リードに引っ張られて首が圧迫されたとき
  • 温度変化で急に冷たい空気を吸い込んだとき
  • ぶつかったりして喉に刺激が加わったとき

このような状況で咳がみられます。

 

 

原因

気管支が炎症を起こして気管支炎になりますが、原因はさまざまです。

原因として考えられるものは

  • 刺激性の煙
  • ガス
  • 化学薬品
  • 農薬
  • 異物を吸い込んだ

このようなものが考えられます。
寄生虫、とくに線虫類の幼虫などが気管に入りこんで気管支炎をおこすこともあります。

 

 

イヌ伝染性気管支炎

細菌やウイルスによる感染症で気管支炎の症状がでる場合があります。
気管支炎で最も多いのはウイルスや細菌などによる感染によるものです。
数種類のウイルスや細菌が同時に混合感染することで、気管支に炎症を起こす症状が見られます。

ケンネルコフともいわれています。

ケンネルコフ

ケンネルコフとは伝染性の呼吸器疾患の総称です。
名前の由来としては犬舎(ケンネル)+咳(コフ)から来ており、ペットショップや犬舎などたくさんの犬が一緒にいる環境などで良く発生するためです。

 

 

原因のウイルスや細菌

  • 犬パラインフルエンザウイルス
  • 犬アデノウイルス2型
  • 犬レオウイルス
  • 犬ヘルペス
  • 気管支敗血症菌
  • マイコプラズマ

これらのウイルスや細菌、真菌などが考えられます。

感染している犬との接触感染や飛沫感染によってうつり、しかも感染力が非常に強いため、せきなどをしたときの気管分泌物や唾液によって環境が汚染されます。

そのため多頭飼いの場合やペットショップなどは、1匹が感染するとあっという間に感染が広がる場合があります。

また、年齢に関係なく発症しますが、特に子犬や老犬の場合は抵抗力が低いため、重症化しやすい傾向があります。

 

ケンネルコフの症状

 

細菌やウイルスが一種類だけ感染した場合などでは、軽い咳と微熱などの症状が見られますが、ほとんどは1週間~10日前後で回復します。

咳は運動時や興奮したとき、気温の変化が急に起こった場合などに起こりやすい傾向があります。

 

混合感染に注意

同時に他にもウイルスや細菌が感染した場合(混合感染)、通常の気管支炎の症状である吐くような仕草の咳が見られ、高熱や膿のような鼻水を出します。
また、食欲が減退し元気がなくなります。

悪化した場合、肺炎を起こして呼吸困難により死亡する場合もあります。
気管虚脱などの呼吸器疾患を持っていた場合には、症状は急激に悪化する可能性があります。

 

 

 

治療

気管支炎はさまざなま原因から起こるため、治療法を決めるためには原因の究明が必要です。

発熱や食欲不振などの全身症状が出ている場合には、ほかの病気の可能性を調べるために十分な検査が必要となります。

場合によっては血液検査や胸部に対するX線検査が必要になることもあります。
また、寄生虫の有無にも注意をはらわなければなりません。

吐き気があるものについては、吐き気の原因がせきを誘発したかどうかについても留意します。

 

治療について
気管支炎の治療は基本的には対処療法がおこなわれます。
気管支拡張剤や咳止め薬、酸素吸入などをおこなって症状の緩和をします。

 

 

急性気管支炎への対策

急性の場合にはきちんと対処し安静にすれば2週間程度、感染症の場合でも10日程度で完治することができます。
しかし、何度も気管支炎になったり、悪化して慢性気管支炎になると完治することができなくなり、生涯付き合っていく必要があります。
犬にとっても、飼い主にとっても、苦しい思いを続けることになります。

 

原因に応じた対症療法を行う

軽度な場合には、安静にすることが大切で、散歩もなるべく控えめにして喉へ刺激がいかないように気をつけます。

温度や湿度を管理したり、ホコリを吸い込まないように掃除をしましょう。
煙やにおいの強いものを近づけないなど注意しましょう。

抗炎症剤や気管支拡張剤、鎮咳剤などを使用して症状を抑えて悪化を防ぎます。

細菌などの感染症が原因の場合には、抗生物質を使うこともあります。

 

慢性気管支炎の対策

慢性気管支炎になったら完治することはありません。
咳や感染をうまくコントロールすることで悪化させないようにします。

タバコやホコリやダニなど、原因と考えられる刺激のある物質と接触しないように遠ざけましょう。

症状が見られた場合には、早めに対処して悪化させないようにします。

  • 抗炎症剤
  • 気管支拡張剤
  • 去痰剤
  • ステロイド

これらを使って症状を緩和し炎症を素早く鎮めましょう。
感染症の場合には抗生物質の投与を行います。

 

環境の改善

首輪をやめる
首輪はどうしても気管への刺激となるため、咳が出てしまいます。
この際、首輪をやめて動輪やハーネスにして首への刺激をなくしましょう。

 

運動をコントロール
激しい運動は咳の原因となるため注意が必要です。
しかし、運動不足で肥満になると首のまわりに脂肪がついて、気管を圧迫することになります。
激しすぎない適度な運動と食事で調整しましょう。

 

病院に早く連れていく場合

肺炎や肺気腫を併発した場合には、重症化して命に危険が及ぶ場合があります。
症状が見られたらすぐに動物病院へ連れていくようにしましょう。

 

 

イヌ伝染性気管支炎の場合

ケンネルコフの場合は細菌やウイルスに感染していることが原因です。
ですが、特効薬などは存在しません。

そのため基本的には犬の免疫力で治していくことになります。
1週間ほどは興奮させたり、のどへの刺激を与えて咳がでないように気をつけて、十分な栄養を与えて安静にさせましょう。

混合感染していなければ1~2週間程度で良くなっていきます。

場合によって、合併症や混合感染など症状をみながら抗生物質や鎮咳剤、気管支拡張剤などで対症療法を行います。

 

 

 

気管支炎と似た症状の病気

通常の治療を行って改善が見られない場合は、咳を特徴とする他の病気も考えるべきです。

ジステンパーはケンネルコフと症状は似ていますが、神経症状によるけいれんなど重症化することがあるので注意が必要です。

 

 

予防

気管支炎は慢性化すれば一生付き合っていくことになる病気です。
そうならないためにも予防して守りましょう。

 

早期発見

予防するうえではかなり重要です。
早めに気づいて対処すれば簡単に治すことが可能です。
いつもと違うポイントを見つけたら、獣医師に見てもらいましょう。

 

冬は発症しやすい

冬場は空気が乾燥するため、のどの粘膜の機能が低下します。
そのため吸い込んだ異物の影響を受けやすく、咳の原因となります。

急性気管支炎を繰り返すと慢性化する可能性があるため注意が必要です。

 

予防接種

ケンネルコフなどの原因となるウイルスには、ワクチンが開発されているものもあります。
予防接種を受ければ大きな病気にならずにすみます。

伝染性咽頭気管炎、パラインフルエンザ、ジステンパーなど気管支に影響を与えそうな病気を予防することができるので毎年接種すると良いでしょう。

予防接種をうけよう

予防接種とは注射や投薬によって、弱らせた病原体を体に入れることで人工的に体に抗体を作らせ免疫を作ることです。 生後3ヶ月を過ぎると母親から受け継いだ免疫がなくなり、伝染病への抵抗力がなくなってしまいま ...

 

住環境の整備

犬の生活環境が良ければ、病気にもなりにくく健康に長生きすることができます。
冬場などは乾燥しやすく、ウイルスが活動しやすい季節になります。
保温や保湿に気をつけてあげるだけでも大きく違います。

落ち着いて静かなところで眠れるようにしてあげましょう。

 

原因物質に注意を払う

感染による気管支炎以外の原因は、飼い主が防ぐことができるものが多いです。
誤飲や誤食を防ぐために、誤って口にするようなものは遠ざけましょう。

 

目に見えないモノにも注意

殺虫剤や塩素系漂白剤の使用など、揮発して気体になったものは見えませんが存在します。

タバコも煙だけではなく、目に見えない揮発性物質が周囲に放出されています。
また、吸い終わった場合でも衣服に微粒子が付着しています。
これらは気管支に刺激があるので注意が必要です。

 

 

老犬と幼犬は特に注意

老犬は体力が衰えていたり、すでに持病を抱えていたりと抵抗力が低くなっている場合があります。
仔犬も同じように体力も抵抗力、免疫力どれも未熟なためにウイルスや刺激に強くありません。
無理はさせないように心がけましょう。

また、散歩の際にも咳をしている犬に近づかないようにしましょう。

 

肥満にならないように

太り過ぎはさまざまな病気の原因となりますが、気管支炎についても例外ではありません。
脂肪が多すぎると気管を圧迫するため、気管支炎の原因または悪化につながります。

適度な運動により適正体重をキープしましょう。

 

そのドライフード小さくない?

犬は歯の構造上、人間の奥歯のようにかみ砕いてすり潰すような形状にはなっていません。
食べ物は飲み込めるサイズならば丸のみすることが多いのです。
祖先であるオオカミからの名残です。

現代においては、大きめの犬が小粒のドライフードを食べると誤って吸い込んで気管へ入り込む場合があります。
誤嚥といって、気管支炎や肺炎の原因となる可能性があります。
きちんとその犬のサイズに合ったエサを用意しましょう。

 

ハーネスを採用しよう

散歩の際など首輪はどうしても引っ張られた際に、気道を抑えることになります。
その際咳が出てしまいます。
気管支炎を発症している場合には悪化の原因となります。

そのため、首輪をやめてハーネスで散歩するようにしましょう。

小型犬におすすめ

 

リングハーネスとは、メガネのような8の字型デザインのハーネスです。
8の字のわっかに両足を入れることで固定できるので、のどや首、頸椎への負担をなくします。
気管支炎の予防や悪化を防ぐことができるので、小型犬におススメです。

 

中型犬にはボディハーネスがおすすめ

中型犬や大型犬には強く引っ張られても負担の少ない、面積が大きいタイプがおすすめです。
サイズ調整も簡単。

 

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