Q熱

感染する主な動物は、ウシ・ヒツジ・ヤギ・イヌ・ネコ・トリです。
他にも家畜やペットを含む多くの動物への感染が知られています。

ただこれらの動物が感染していても、症状を出すことはあまりありません。

 

ヒトは大変感染しやすく病原菌1 ~ 10菌体程度侵入されると感染が成立する。

また、患者の家で飼っているイヌ・ネコからヒトへの感染の可能性も考えられます。

 

 

 

動物の症状

動物は、感染しても無症状の場合が多い。
しかし、妊娠動物では流産することがある。その他に妊娠率の低下などの繁殖障害がある 。

感染動物は保菌しており、乳汁、流産胎仔、胎盤、羊水、糞、尿から病原体を排泄する。
排菌期間、量などは不明である。

 

 

人の症状

感染者の50%は感染しても症状がでない、残りの50%で急性のQ熱を発病する。
急性Q熱から慢性Q熱に移行する頻度は5%程度とされている。

Q熱の潜伏期の長さは、通常10-14日ですが、最初にその人の体内に入り込んだコクシエラ菌の数によると考えられています。
多数の菌が入り込めば、Q熱の潜伏期は短くなります。
2~3週間の内に発病する場合が多いですが、その一方で潜伏期が40日に達する人もいます。

全快した人は、終生にわたる免疫を獲得します。

 

急性のQ熱

高熱(ピークが39.4度-40.6度)・激しい頭痛・悪寒・筋肉痛・混迷・咽頭痛・発汗・乾いた咳・嘔気・嘔吐・下痢・腹痛・胸痛などから一つ以上の症状が急激に出現する場合が多いです。
発熱は2日ほどのこともありますが通常1~2週間続き、体重が減ります。

一般に予後は良いが、急性のQ熱の死亡率は約1~2%である。

 

慢性のQ熱

慢性のQ熱は、6ヶ月以上にわたる感染がみられるもので、急性のQ熱に比べて症状が重い。
患者の65%が死亡します。

慢性肝炎、骨髄炎、心内膜炎をおこすことが多く、予後は不良である。
また、慢性のQ熱となる患者の大部分は、もともと心臓弁膜症があったり、心臓弁膜の手術を受けている人たちです。

臓器移植を受けている人、癌患者、慢性の腎臓病患者なども、慢性のQ熱になりやすいです。

 

急性のQ熱となった患者が、その最初の感染から1年後に慢性のQ熱を発病することもあれば、20年もたってから発病するケースも見られます。

 

 

原因

コクシエラ・バーネッティイという細菌に感染することで発病します。
牛やヤギ、ヒツジなどの家畜、犬や猫などのペット、ハトやカラスなどの鳥類などの体内に生息していますがほとんどは症状が現われません。

動物のメスの子宮や乳腺は慢性のコクシエラ菌の感染の部位となっており、特に出産時には、多数のコクシエラ菌が羊水や胎盤中に出てきます。
流産では菌が大量排出されるので感染の原因となります。

 

感染した動物の尿・糞・ミルクの中にコクシエラ菌は出てきます。

コクシエラ菌は熱や乾燥、通常の多くの消毒薬に強く、体外の環境下においても、数週間から数ヶ月といった長期間の生存が可能です。

 

動物の感染ルート

コクシエラ菌に感染することで発病しますが、動物への感染源ははっきりしない。
しかし、菌は乾燥に強いため、塵埃と共に空気中に存在する可能性が高く、汚染粉塵の吸入、保菌ダニによる咬傷、保菌動物の補食によって感染するのではないかと考えられる。

また、 垂直感染(親の胎盤から子供にうつる)もある。

 

 

人間の感染ルート

人は、菌体を含むエアロゾルを吸入することによる感染が最も多いです。

感染した家畜が生活する納屋やその付近のほこりの中に含まれるコクシエラ菌を吸いこむようなことで、ヒトは感染します。
ほこりの中には、感染した家畜の排泄物や胎盤・羊水の乾燥したものなどが含まれていることがあるためです。

そのため感染動物が付近にいなくても、風に運ばれた汚染粉塵から感染することもあり、風に乗って数キロ離れた場所に届くこともあります。

 

犬や猫など愛玩動物 の出産に伴うアウトブレイク(集団感染)も報告があります。

特に感染猫は人のQ熱の重要な保菌動物であると考えられており、分娩した感染猫との接触により人に感染する可能性がある。
とくに、保菌動物の羊水や糞尿で汚染された乾燥粉塵を吸入する経気道感染が知られている。

 

ヒトからヒトへの感染はまれだとされています。染された食物を食べての感染は少ないと考えられています。

希に保菌ダニの糞塵吸入や咬傷などからも感染するようです。

 

治療

急性Q熱の治療においてはテトラサイクリン系抗菌薬が第一選択薬であるがニューキノロン系を使用することもあり、大抵は投与後、長期化した場合はリファンピシンなどと併用される。

クロラムフェニコールなども有効である。
とされているが、体に重大な副作用があるため、多剤耐性のため本剤以外に選択肢がない場合にのみ用いられる。

 

急性型の場合には、抗菌薬による治療を発症から3日以内に行うと一般的に効果が最も高く2~3日以内に解熱するが、2~3週間は続ける必要がある。

仮に再燃したら、すぐに投薬を再開することが重要である。

また、慢性型の場合は予後が悪く、数年にわたる投薬が行われても十分に効果が得られないこともある。
急性型の発症の際に適切な治療を行い、慢性型に移行させないことが重要である。

 

予防

動物の流産に出会った際には、Q 熱に限らずその他の人獣共通感染症の可能性もあることから、素手での作業や粉塵の吸入を避けるなど気遣いが必要である。

 

・流産胎盤などは焼却し、汚染された環境はクレゾール石けん液、5%過酸化水素水で消毒する。

・分娩や流産猫を取り扱う際には手袋およびマスクを着用し、汚染された乾燥粉塵を予防する。

・猫との接触後に発熱や呼吸器症状を示した場合は医療機関を受診する。

・発熱での受診時に、動物との接触歴を医師に告げることも重要である。

・日本では本病のワクチン(予防接種)は利用できない。

コクシエラ菌は環境中に広く存在し、健康人であれ ば感染しても不顕性であることが多く、日和見感染 菌とも考えられる。目立たないが、忘れてはいけな い存在である。

 

 

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