膿皮症

膿皮症は細菌感染による皮膚病です。
犬では最も多く見られる皮膚疾患の一つで、猫ではあまり見られません。

皮膚の常在菌である「ブドウ球菌」が異常繁殖して病状化したものを総称して膿皮症と呼びます。

膿皮症は感染するスピードが早いという特徴があり、ひとつ発疹が出来れば身体のあちこちにどんどん増え、完治するまでに時間を要します。

 

病状

最初は表面が小さく化膿しているだけですが徐々に深く、かつ数多くの病変に進行していきます。病気が進むにしたがって痒みや脱毛がひどくなるのが特徴的です。
症状が進行すれば強い痒みを伴い、引っ掻くことで、更に治療が長引きます。

感染の浅い順に表面性膿皮症(膿痂疹)、浅在性膿皮症、深在性膿皮症に分けられます。

 

 

表面性膿皮症(膿痂疹)

皮膚表面だけが感染している状態を指します。
皮膚表面で菌が繁殖していて、細菌の刺激、もしくは皮膚の分泌物、脂質が分解されたときの産生物によってかゆみが生じ、結果的に自傷性皮膚炎を生じます。
自傷性皮膚炎とはかゆみでかきむしることで自分を傷つけそこから皮膚炎になってしまうこと。

肉眼でニキビのような発疹ができます。丘疹といい色は皮膚と同じか、膿が多くたまっている場合には薄い黄色をしています。

アトピー性皮膚炎ノミアレルギー性皮膚炎の症状として起こることがあります。

 

 

表在性膿皮症 (ホットスポット)

  • 毛包(毛の根元であり、被毛を産生するという重要な役割を担っています。)

毛包の間の表皮の中、角質層まで細菌に侵入されている状況です。
小さな丘疹がはじけた赤い病変が確認できます。
毛包が炎症でダメージを受けると抜け毛が発生します。

 

 

深在性膿皮症

表皮、毛包、真皮まで菌に侵入されている状態です。
このころには激しい痒みでかさぶたができて出血していたり、皮膚が部分的に象のように厚くなったりします。

体調にも影響があり、熱が出たり、痩せたり、元気もありません。
かなり重症化しているので治るのに時間がかかるでしょう。

 

 

原因

膿細菌性膿皮症は、常在細菌が増殖することによって起こる皮膚の感染症である。
原因菌の90%以上は弱毒性の常在菌、ブドウ球菌である。

湿気が多い時期には、ブドウ球菌が繁殖しやすくなるため、日本では春先の雨のシーズンや梅雨頃から、発生率が飛躍的にあがる傾向にあるようです。

ブドウ球菌が過剰に増殖することで原因物質が産出されて炎症を引き起こします。

 

殺菌してしまえばよいのか?

常在菌なので完全に殺菌すればいいというものでもありません。
大切なのは皮膚の上でのさまざまな菌のバランスが大切です。

もちろん、ブドウ球菌は常在菌なので健康な状態であれば存在自体に問題はありません。

しかし、皮膚が不衛生だったり、・栄養不良・不衛生な生活環境、擦り傷などの傷がある、皮膚の免疫力が低下した時に増殖して症状を引き起こします。

 

犬の皮膚は、下記のような特性がある。

  • 角質層が薄い
  • 細胞と細胞の隙間を満たしている脂質膜に乏しい
  • 毛包の防御力が弱い

(お肌が強いほうではない。ということです。)

そのため、皮膚の細菌バランスが崩れると簡単に膿皮症を発症してしまします。

 

膿皮症へのながれ

  1. 始めは表面性膿皮症、皮膚の表面の炎症から始まります.。
    細菌性の炎症を起こしたときに、血管外からしみだしてくる組織液を滲出物(しんしゅつぶつ)といい
    これが細菌の栄養源となりまた増殖という悪循環が生まれひどくなっていきます。
  2. そして、かゆみがあるためかいたり、噛んだりして傷口ができます。
    そこから角質層に侵入しやすくなり、また一段上の症状へとステップアップしていくのです。

 

その他には、アレルギー性皮膚炎やニキビダニ症などの、二次感染としても犬が膿皮症を発症してしまうこともあります。
また、シャンプーのしすぎによって、皮膚を悪くしてしまって犬が膿皮症を起こすこともあります。

 

好発部位(発生しやすい場所)

発赤や発疹、膿疱、かさぶたが顔や足の付け根、股、耳の裏、指の間などによく現れる。
幼犬では下腹部などおしっこで汚れやすい部分、全般的には体幹部(胴体部分のこと=背中とお腹)に病変がよく見られます。

 

 

好発犬種(かかりやすい犬の種類)

  • ダックスフンド
  • ゴールデンレトリバー
  • キャバリア・キングチャールズ・スパニエル
  • ミニチュア・ピンシャー
  • イングリッシュ・セター
  • コッカー・スパニエル
  • ブルドッグなどの顔にシワが多い犬種

 

0歳から2歳くらいまでの若くて皮膚がまだ弱い時になるようです。

年をとってホルモン系の病気や肝臓病になると多く見られます。
アレルギーを持っていたり、皮脂が出やすい体質だと膿皮症を再発しやすいでしょう。

 

治療

発疹や膿から検出される菌の分析や視診と共に、基礎疾患がないかどうかを見極めた上で、治療方針を決めます。

膿皮症は症状が似た病気が何種類かあるため、何が原因で皮膚の炎症がおこっているのかを突き止めることで的確な処置ができます。

 

 

外部寄生虫(ノミやマダニ)がいる場合はその駆除からです。
発見されない場合でも、外部寄生虫予防がきちっとなされている必要があるので、予防・駆除剤の使用をお勧めします。
外部寄生虫をそのままにしておいての皮膚科治療は効果が上がりません。

 

 

 

表面性膿皮症

基礎疾患としてノミアレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎が考えられるので、その発見、治療を先に行う必要があります。

表面性膿皮症の場合は局所的な治療が行われます。
クロルヘキシジンやヨウ素を含んだ温水に10~15分間患部を浸すことは、かゆみや痛みを和らげ、皮膚の血流を促進する効果があります。

 

 

外用剤(抗菌薬の軟膏やクリーム)

病変が広範囲にわたるもの、深部に向かうものなどには向いていませんが、膿皮症が非常に軽く一部分のみといった場合や、顎の下や指の間など局所化した患部に対して使用されます。

 

近年は多剤耐性菌の出現により抗菌剤の投与だけでは対応しきれない症例もあるため、原因菌に耐性があるとわかったときに、病変部に直接塗ることで高い濃度の抗菌剤で効果が得られる可能性もあります。

 

しかし、熱心な飼い主は塗布しすぎることにより、ステロイド皮膚炎を誘発する可能性があるので注意しましょう。

また、動物用にフルオロキノンと抗真菌剤、副腎皮質ホルモンを配合した外用薬がありますが小型の病変であれば悪化しないか見ながら使うことができますが、大きな病変や、再発性の膿皮症などでは副腎皮質ホルモンによって再発しやすいのでなるべく使わないほうが良いでしょう。

 

 

表在性膿皮症

犬の表在性膿皮症がの原因のほとんどはブドウ球菌であるため、これに対して効果の高い抗菌薬を一定期間内服するのがスタンダードとなっています。

セファレキシンを1日2回 3週間投与を計画

2週間後に再診する。抗菌薬に対する感受性試験を行う。
原因菌であるブドウ球菌が、使用した抗菌薬に耐性を持つ場合、十分な効果が得ることができないため、別の抗菌薬に変更する必要があるためです。

最近では一回注射すると2週間薬効が持続する抗菌剤も利用可能になってきています。

 

おすすめは TOフレックスです。
主成分 セファレキシン
004819_toflex
L2-fl05-09

 

 

多剤耐性菌による表在性膿皮症

多剤耐性菌による表在性膿皮症の場合、抗菌剤の経口投与を中心とするよりも殺菌消毒剤を用いたほうが効果があります。

抗菌性シャンプーは細菌を死滅させる効果があるため、抗菌薬とは異なり細菌の明らかな耐性は示されていません。

多剤耐性菌でない場合でも、このようなシャンプーを使うことで細菌の耐性化を少しでも予防することができます。

抗菌性シャンプーとは
有効成分が酢酸クロルヘキシジン2~4%およびグルコン酸クロルヘキシジン、過酸化ベンゾイル、乳酸エチル
などで構成されている。

 

 

シャンプー療法 (抗菌性シャンプー)

薬効のあるシャンプーを使って体を洗う治療法です。
抗菌薬シャンプーによる皮膚の洗浄と殺菌はとても効果的です。

細菌を物理的に皮膚から除去して、細菌の繁殖を抑制し、壊死した組織や滲出物を除去する際に有効です。
補助的治療として行うとよいでしょう。

抗菌性シャンプーは週に2~3回程度を目安に行います。
シャンプーはすぐに洗い流さず5~10分程度、患部に接触させてから流します。
シャンプーの頻度が多すぎると脂分がなくなり、皮膚が乾燥してバリア機能を失うことになり症状を悪化させるので適度に行いましょう。

ただし、膿皮症が進行している場合は、シャンプーが皮膚を傷つけるため禁止となる場合があります

 

 

 

 

深在性膿皮症

基本的には表在性膿皮症と治療方針は同じですが、治療には長期間を要します。
1~3か月ほどかかってしまうでしょう。

抗菌薬の投与も最低6週間は必要です。

深在性膿皮症ではなんらかの基礎疾患により免疫異常がみられることが多く、これらの免疫異常を発見、治療できないときは治療に時間がかかります。

 

非常に大切なこと

飼い主が症状が改善すると抗菌薬の投与を中止してしまう場合がありますが、病状が収まっても少なくとも1週間は継続して投与を続けましょう。
投与期間が十分でないときには治癒後1ヶ月以内に再発します。

早期の投薬中止は再発と耐性菌の発現を招くことになります。

 

 

 

再発性の膿皮症

再発性の膿皮症の場合は治療と管理だけでなく、基礎疾患がないかどうかを調べます。

再発性の膿皮症の場合
アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ノミアレルギー性皮膚炎、クッシング症候群、甲状腺機能低下症、腫瘍の有無を調査します。

 

 

予防

膿皮症は常在菌による疾患なので菌をなくすことはできません。
そのため、犬の健康を維持することが最も重要です。

 

質の高い食事

バランスの取れた質の高い食事は犬の免疫力を高くし、皮膚病になりにくくなります。
また、腸内環境を整えることもとても有効です。

 

清潔

尿で汚れやすい下腹部、食べ物で汚れやすい口の周り、分泌物などで汚れやすい部分(陰部の周囲や内股)は常に清潔にしておきましょう。

 

乾燥と湿度

雨に濡れたあとやシャンプー後は十分に乾かしましょう。
脇の下や耳などの蒸れる場所に発疹しやすい傾向があるので、夏場はトリミングや湿度管理をおこない通気性を確保してあげましょう。

全身をよくブラッシングしてあげて皮膚の風通しを良くしておきましょう。

 

早期発見

早期発見はペットの苦痛も軽くすみ、治療期間も短くて済みます。
経済的にも軽く済みます。

ブラッシングのときにスキンシップをとりながら、膿皮症を発症していないかこまめにチェックしてあげてください。異変があったら早めに獣医さんに相談しましょう。

 

シャンプー

皮脂が出やすい体質や過剰な鱗屑、脂漏症を伴う場合には、
サリチル酸、硫黄、過酸化ベンゾイルなどが配合されているシャンプーを使うことで予防や再発防止になります。

 

 

 

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