肝臓

肝炎

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肝臓の細胞が障害をうける病気で、急性のものと慢性のものがあります。
急性肝炎は比較的症状が出やすいものの、 慢性肝炎は初期には無症状のことが多く、 気づいたときにはかなり進行していることもあります。

治療は、薬物療法とともに、 食餌療法が重要です。

 

 

肝臓の仕事

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肝臓はたくさんの役割をになっています。

  • 毒素の分解
  • 栄養素の分解、合成、貯蔵
  • ビタミンやホルモンの生成
  • 炭水化物、脂質、タンパク質の合成や分解
  • 消化酵素の生成

などなど

そのためこの臓器に炎症が起こって機能しなくなるとさまざまな症状が現われます。

 

 

肝臓の2つの特性

再生能力

正常な肝臓の場合では、炎症などの障害の発生や切除されても、全体の4分の1が残っていれば増殖して数ヶ月で元に戻るというものです。
ただし、再生できる数にも限度があり、肝硬変、肝不全の場合は治癒することができなくなってしまいます。

 

予備能力

肝臓は一部に異常がでて機能しなくなっても、すぐに再生する能力を持っています。
再生するまでは、正常な部分が働きを補うことで、肝臓の働きは保たれて日常生活には支障をきたしません。
例えば、半分以上の肝細胞が死んでしまっても、他の肝細胞がフォローするという機能があるのです。

そのため病気が進行していても自覚症状がなく、症状が出た時にはかなり進行していることも多いのです。
ここから沈黙の臓器などと呼ばれることもあります。

 

 

症状

急性肝炎

急性肝炎とは、肝臓に急な炎症が起こった状態を言います。
急性肝炎は下病やおう吐がみられる急性肝炎の場合、食欲不振、下病、おう吐がみられます。
進行すると、黄疸の症状が出て白目が黄色くなったり、筋肉の震えやけいれんがおこります。
黄疸が現れた場合には、病気はかなり進行している状態になります。

 

黄疸
血液中にビリルビンという胆汁色素が増えると、白目が黄色くな ったり、黄色いおしっこが出ます。
通常、ビリルビンは胆汁として胆のう、腸管を経て、便になり、 排池されます。
しかし、肝機能が 低下していると、ビリルビンを胆汁に利用することができなくなり、 血液中に増加してしまいます。

 

 

慢性肝炎

慢性肝炎の場合は、特徴的な症状はありません。
食欲不振、下病などがみられるここともありますが、多くは目立った症状がないまま進行します。
悪化するとおなかに水がたまり、死亡することもあります。

 

 

 

原因 ウイルスや化学物質が炎症をおこす

急性肝炎は、肝臓の細胞が傷つけられたり、攻撃されて炎症がおこるものです。
原因は感染性と中毒性に大別されます。

感染性

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感染性の原因は、犬アデノウイルス1型などのウィルス、レプトスピラ、サルモネラ菌などの細菌、 イヌ糸状虫などの寄生虫、そのほか真菌、トキソプラズマ原虫などです。

感染した犬の尿や便、吐いたものから感染がひろがります。

急性膵炎や溶血性貧血などを併発する場合もあります。

 

中毒性

%e3%81%a9%e3%81%8f%e3%82%8d中毒性の原因物質


  • 銅はこのヘモグロビンをつくるため鉄を必要な場所に運ぶ役割をしています。
    しかし、遺伝的に銅の排泄機能に問題がある犬種がテリア種です。
    これによって銅が肝臓に蓄積して、肝炎につながるものです。

 

  • ヒ素、水銀
    毒性があるので摂取すると中毒になる。

 

  • 鎮痛薬、麻酔薬、風邪薬
    アレルギー反応によって肝機能障害が起こります。
    人間の風邪薬に含まれる、アセトアミノフェンを、ペットが誤って口にしてしまった場合も、肝炎を引き起こします。

 

  • カビ毒
    カビ毒はカビが作り出す毒です。
    農産物や乳製品、肉などが汚染されていることがあります。
    なかなか出会うことはないと思いますが・・・
    大量に摂取すると急性肝炎を引き起こします。

 

  • 殺鼠剤
    殺鼠剤はネズミを殺すために使われている薬物です。
    ワルファリンいう薬剤で血液を固まりにくくする薬です。
    簡単にいうとネズミがケガをすると血が止まらなくなるというものです。また、網膜内の内出血によって視力が低下し、明るいところに出てきやすくなるのでネコに襲われる頻度が上がります。
    そのため、この薬で弱ったネズミを猫が食べてしまった場合、口や鼻から出血したり、中毒症状を起こし肝炎になってしまいます。
    場合によっては死んでしまうこともあります。

 

 

慢性肝炎

慢性肝炎は、急性が治らずに継続している場合と、急性と同じ原因で慢性的に炎症がおきている場合があります。

また、原因不明のことも多いものです。
ビーフジャーキーなどの食事を摂りすぎるとよくないと言われています。

放置すると肝硬変になったりもするので注意しましょう。

 

 

治療 高栄養の食餌で肝機能を回復

急性、慢性ともに、犬をケージなどに入れて安静を保ち、ゆっくりと休養させます。
安静にすることで肝血流の増加が促進され、肝障害の治癒がより進むと考えられているためです。
たんばく質やビタミン剤などの肝庇護剤肝臓を守る薬や解毒剤を用い、肝機能の改善をはかります。

けいれんなどの神経症状が現われる、おなかに水がたまるなど、かなり進行している場合は死亡することもあります。

 

食餌療法

高たんばく質、高ビタミン、低脂肪、アルギニン、亜鉛、L-カルニチンなどで構成されている肝臓にいい食べ物を与えてあげてください。

肝臓病になると吸収した栄養素をうまく利用できなくなるため、痩せてしまいます。
これを避けるために肝臓の細胞の再生を助けるためタンパク質が必要になります。

 

 

重度の肝臓病の場合

タンパク質を代謝したときにでるアンモニアが解毒できなくなります。
高アンモニア血症になる可能性がでてきます。
そのため消化のよい高たんぱくで、さらに摂取量を調整する必要があります。

猫は肉食動物であるためもともと高たんぱくの食事である必要があるので、タンパク質を制限するのは高アンモニア血症のときくらいです。

 

高アンモニア血症とは
血液中のアンモニアの濃度が高くなってしまう状態を高アンモニア血症といいます。
呼吸障害やおう吐など。

 

 

 

感染症による肝炎の場合

細菌やウイルスが原因になる場合です。
イヌ伝染性肝炎やレプトスピラ感染症がこれにあたります。

抗生剤などの内服薬、点滴の治療です。また感染防止のため、隔離入院が必要となります。
十分な休息や栄養のある食事で体力を回復させてあげることも必要になります。
年に1度のワクチンで予防できる病気です。

 

予防 定期検診が重要

症状があらわれるころにはすでに進行しているため、治療もむずかしくなります。
早期発見のためには、定期検診が欠かせません。
肝機能は、血液検査で調べることができます。

感染症によるものの場合は、ワクチンによる予防ができます。

 

かかりやすい犬種

とくに慢性肝炎への注意が必要な犬種です.

 

  • ドーベルマン
  • コッカー・スパニエル
  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • スタンダードプードル
  • ラブラドールレトリーバー

 

 

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