動物は食べ物を食べて消化してエネルギーに変えています。
口から始まって食道、胃、小腸、大腸、肛門までの一連の器官を消化器と言います。
消化器官全体の長さ
- 犬 約6倍
- 馬 12倍
- 牛 20倍
人間との関りが深くなり、雑食性に変化した犬ですが、もともとは肉食性です。
そのため犬と草食動物では、消化器官の長さが全く違います。
それゆえに消化機能も人間や草食動物とはちがっています。
人間と同じように犬や猫も体調を崩すと消化器の病気になり、食べ過ぎておう吐したり、下痢をしたりすることも少なくありません。
食道
口から入った食べ物が最初に通る管状の器官です。
蠕動運動といって収縮運動によって食べ物を胃に向かって送り出します。
巨大食道症
食べ物を飛ばすように吐き出す。
病気の経過がかなりわるく70%ほどが死亡してしまう。
また、食事方法も変えなくてはならず飼い主の負担も大きい。
胃
食べ物を柔らかくドロドロに溶かして消化の準備をする器官です。
胃の中では「強力な酸と消化酵素」が分泌されて入ってきた食べ物を溶かします。
そのため胃の内壁は、胃酸に耐えられる粘膜に覆われています。
犬の胃は消化管全体の容量の60%を占めるほど大きくて、一度に大量の食物を詰め込むことが可能で、そのうえ肉などは臼歯ですり潰すことなく、丸ごと胃に送り込んでも強力な胃酸で消化することができます。
犬は一度に大量のものを胃に流し込むことができる一方で、食べたものを容易に吐き出すことができる特性があります。
そのため、母犬が自分の食べたものを吐き出すことで、子犬に離乳食として与えることができます。
また、食べ過ぎやおなかの調子が悪い時などは、草を食べてその食物繊維によって胃液ともに食べたものを吐き出すことで消化機能を調整することができます。
しかし、継続的に吐き続けたり、噴水のように吐いたり、おう吐の後もずっと食欲がない時は病気の可能性も考えられます。
急性胃炎
胃の粘膜が炎症を起こす病気で、何度もおう吐を繰り返します。
水を飲んでも嘔吐を繰り返すためその結果、脱水症状になります。
慢性胃炎
たびたびおう吐して体重が減ります。
胃の粘膜に慢性的に異常が見られるため、数週間にわたっておう吐すること多々起こります。
原因はさまざまです。
また貧血や腹部に痛みを訴える場合もあります。
胃拡張と胃捻転
胃拡張は胃が異常に大きくなることで、胃の内部のガスが異常発酵して膨らみます。
胃捻転とは胃の中のガスが発酵によって、胃がねじれている状態で緊急治療しないとほとんどが死亡します。
胃潰瘍
胃の粘膜が傷つく病気です。胃に穴が開いて死亡することもあります。
コーヒー色のおう吐物や血便が見られたり発熱などがおこります。
小腸
小腸はドロドロに溶かされた食べ物から栄養を吸収するところです。
小腸の最初の部分は十二指腸です。
十二指腸には消化を助けるすい液と胆汁をだす器官が備わっています。
- すい液:脂肪やタンパク質、炭水化物などを分解する酵素が含まれている。
- 胆汁:脂肪を溶かす物質が含まれている。
小腸には絨毛という細かい突起がたくさんあって、それによって栄養を吸収しています。
犬の場合は腸が比較的短く、本格的な消化はここで行われますが、消化できないものや消化された残りかすは、大腸へと送られます。
大腸
大腸は大きく3つに分けることができます。
- 盲腸:大腸の最初の部分
- 結腸:大腸の大部分を占めている
- 直腸:大腸の最後の部分で肛門につながっている
大腸は主に水と電解質を吸収する役割を担っています。
また、食べ物の残りかすを便に変えますが、腸内にはさまざまな種類の腸内細菌が住んでいて、便の生成を助けています。
出血性胃腸炎
急性の下痢の症状がでます。
下痢は黒いジャムのような血便がでます。
発祥する直前まで元気があり、急激に重症化し死亡する場合も見られます。
慢性腸炎
腸の粘膜が慢性的な炎症を起こす病気です。
おう吐や下痢の症状が見られます。
原因は様々です。
下痢症
急性の下痢と慢性の下痢があります。
急性の場合2、3日のあいだに繰り返し起こります。
慢性の場合2~3週間にわたって下痢をおこします。
急性の下痢の場合で、脱水症状を起こし処置しなければ死亡してしまうことがあります。
腸閉塞
腸になにかが詰まって腸が機能しなくなる病気です。
ひどい場合は死ぬことがあり、早期発見、早期治療が重要になります。