耳のもっとも奥深くにある内耳の神経が炎症を起こしている状態です。
耳の最深部にある内耳には、蝸牛神経と前庭神経があり、ここに炎症が起こるようになるためさまざまな障害が起こります。
最終的にはテンカン様の発作が起こって死亡することもあります
症状
- 頭を振る
- 耳を掻く
- 顔が傾いている
- 口を開けるのを嫌がる
- 倒れる
- よだれが出る
- 瞬きができない
- 第三眼瞼(ダイサンガンケン)(目頭の内側に隠れている第三の瞼)の突出
- 膿が流れ出たり悪臭がする
蝸牛神経
聴覚の働きがあり、炎症を起こすと難聴になる。
飼い主が声をかけたり、近くで大きな音がしたときでも犬はにぶい反応しかしません。
ただし、徐々に耳が聞こえなくなっていくため飼い主が気づかずにいることが多いです。
前庭神経
体の平衡を保つ働きをもっているため、ここに異常をきたすと病気になっている耳の方向へ円を描いて歩くようになります。
このとき犬は頭を耳の方に傾けていきます。眼球は左右に細かく揺れ動きます。
人間で言うと回転するタイプの椅子に座って、30回くらい回されて立ち上がった時のような感じでしょう。
犬は歩けなくなり、横になってゴロゴロと転がります。悪酔いによるおう吐、食欲不振になります。
そして、起き上がれないのはもちろん、食餌をとったり、水を飲んだりすることもできなくなっていきます。
さらに悪化すると、顔面麻痺やホルモン異常といった内耳炎よりも進行した症状がみられ、聴神経の炎症で難聴が悪化し、呼びかけにも無反応になります。
- 前庭神経と蝸牛神経の障害が両方同時に現れることはまれです。
鼓膜がやぶれていることも
実際、外耳炎のうち約70%くらいはすでに鼓膜が破れていますから、中耳炎や内耳炎では外耳炎よりも高率で破れています。
しかし、犬の場合は約2週間でほとんど再生しますので問題ありません。
また、中耳と鼻や咽頭などの上部気道はつながっているので、それらの部位の感染が中耳にまで達し、中耳炎を引き起こすケースも見られます。
原因
内耳炎の大半は、外耳炎や中耳炎が原因となって起こります。
犬の外耳炎は、外耳道が細菌や真菌に感染して炎症を起こすことで発症します。
外耳炎が悪化して鼓膜が破れ、炎症がその奥にある中耳、そして中耳から内耳に及ぶことで内耳炎になります。
その為、内耳円は、細菌感染によるものが最も多く、外耳炎、中耳炎で炎症を起こしてできた体液が耳の内部まで浸透したり、細菌が奥まで拡大によって発症することで生じます。
慢性の外耳炎や歯科疾患を患っている犬で見られることが多く、特に中年齢や高齢の犬に発症しやすい傾向があります。
遺伝
体の特徴として発症しやすい傾向があります。
- 耳の垂れ下がった犬種
- 耳の中に毛が生えている犬種
- スパニエル種など耳の長い品種
その他
耳の打撲、腫瘍が原因となることもあります。
シャンプー液などの異物が耳に入ったりすることで鼓膜に穴が開くこともありますし、中耳炎は鼻の疾患から炎症が及んで起きることもあります。
これらも内耳炎の原因の一つといえます。
治療
外耳炎の治療がそのまま中耳炎、内耳円の治療となるでしょう。
外耳炎・中耳炎から波及した炎症は治療を抗炎症剤、抗真菌剤などを投与し、腫瘍などが発見されれば外科的治療を施します。
また、ふらつきがみられる時は副腎皮質ホルモン薬を投与します。
- 蝸牛神経
蝸牛神経の炎症による難聴の場合は治療に効果的なものはありません。
- 前庭神経
早期に副腎皮質ホルモン薬やビタミンB1を与えれば良くなります。
治療について
ペットはしゃべるわけではないので、
- 音が本当に聞こえていないのか?
- 本人に反応する気がないだけなのか?
- 加齢性の靴聰・ボケなのか?
これらの判断もなかなか確定できないことが多く、十分な診察や検査なしでは聴覚に関して診断名と明快な治療方法をなかなか提案しにくいのが実情です。
予防
- 外耳炎にならない
内耳炎は、元をたどれば外耳炎が原因となって発症することが多い病気です。
中耳炎・外耳炎を放置せず、早期治療を行うことが大切です。
万が一発症しても、早期発見と治療で症状と原因を取り除き、悪化させないようにします。
- 定期的にチェックしよう
定期的に耳をめくり、異臭はないか、耳垢がたまっていないかなどをチェックしてください。
- 正しいケア
耳掃除のときに耳の中を傷つけて外耳炎になってしまうことがあります。
ちゃんとしたお掃除方法を知ってキレイにしてあげよう。