心臓の病気

肺動脈狭窄症

先天的に肺動脈の根元が狭くなっているために、心臓の肥大や肺の血圧の低下などの異常が起こり、呼吸困難などの心臓病に典型的なさまざまな症状があらわれます。

 

原因

この病気は右心室から出ている肺動脈の根元と、動脈の入口に逆流を防ぐ弁の役割をする肺動脈弁の部分が先天的に狭くなっているために起こります。
弁の異常の場合「肺動脈弁狭窄症」と呼ばれます。

 

このような欠陥が心臓にあると、肺に送り出される血液の流れに障害が生じるため、さまざまな問題が起こります。

血液の出口が狭いために右心室には常に余分な血圧がかかるため、時間と共に右心室は肥大化し収縮力が弱くなります。
その結果、肺動脈には十分な量の血液が流れなくなり、肺の血圧も低くなってさまざまな症状が起こります。

 

 

症状

病気の程度によって出てくる症状が異なります。
軽い場合には他の元気な犬と比べて疲れやすかったりするものの、一生ほとんど無症状で、気づかずにすごしてしまうほどです。

しかし、多くの場合は心臓にかかるさまざまな負担により、不整脈や心不全が起こります。

呼吸困難や運動を嫌がるなどの心臓病の症状を起こし、興奮したりちょっと激しい運動をしただけで、ぜーぜーと苦しい息遣いになることもあります。

また、おなかに水がたまったり、四肢の先がむくむなどの状態になることもあります。

症状が重い場合には、若齢のうちや生後すぐに死亡してしまうこともあります。

 

かかりやすい犬種

先天性心疾患の中で20.8%頻度の発生が見られます。

 

小型犬

  • トイプードル
  • チワワ
  • ダックスフンド
  • ポメラニアン
  • ミニチュアシュナウザー
  • フォックステリア
  • ヨークシャー・テリア
  • スコティッシュテリア
  • ワイヤーフォックステリア
  • ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア

中型犬

  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • ビーグル
  • イングリッシュブルドック
  • フレンチ・ブルドッグ

大型犬

  • キースホンド
  • サモエド
  • チャウチャウ
  • マスティフ
  • ボクサー

 

 

 

 

治療

聴診器で心臓の音を聞いて雑音があるとわかれば、心臓に異常があることが推察できます。

その場合には、さらに詳しく検査して心臓のどの部分に、どのような異常があるのか、などを調べる必要があります。

  • エックス線検査
  • 心電図
  • 超音波診断

このような検査によって、より確実に病気の程度を知ることができます。

 

 

軽い症状が出ている場合

心臓の異常がさほどひどいものでなく、症状もあまり見られないようなら、特に治療は必要ありません。
健康な犬と同じ年齢くらいまで生きることが可能です。

この程度の場合には内科療法だけで治療することもあります。

軽度であれば内科的に投薬をしながら経過観察をします。
薬は心筋が厚くなるのを防ぐものと、不整脈を抑える薬を使用します。

 

 

利尿剤

うっ血性心不全が認められる場合に使用します

 

症状が重い場合

重度の狭窄が認められる場合は、突然死の可能性があり、他にも失神したり、運動をいやがるなど実生活においても不便が見られます。
狭窄が重度の場合や右心不全などがあると寿命はかなり変わってきます。

また、重症の場合には、投薬だけでは心臓の肥大を止めることが難しいため、外科手術を選択する必要があります。
治療しなかった場合の、1歳未満の死亡率は53%と報告されています。
そのため、早期に発見してすぐに治療が必要になります。

 

バルーンを使って弁を広げる方法

血管からカテーテルを入れて狭くなっている血管まで風船を持っていき、狭窄部分で膨らませて血管を広げる手術です。

手術中のリスクもありますが、今後突然死する可能性を減らして進行を抑えることが可能です。
また、心臓薬の投与をやめることができます。

 

 

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