腎臓に炎症がおきることによって、血液をろ過する機能が低下します。
腎臓の病気は高齢になるとなりやすくなります。
腎臓の役割
老廃物をろ過している
腎臓は体の左右に1個づつある臓器です。
血液から老廃物や塩分、余分な水分を尿として排出する仕事をしています。
また、体に必要なものは再吸収し、体内に留める働きをしています。
血圧を調整している
腎臓は塩分と水分の排出量をコントロールすることによって血圧を調整しています。
血圧が高い時
血液中の塩分と水分の排出量を増やして血圧を下げます。
血圧が低い時
血液中の塩分と水分の排出量を減らして血圧を上げます。
また、腎臓は血圧を維持するホルモンを分泌し、血圧が低いときに血圧を上げます。
その他
腎臓はそのほうかにも、体液量の調整、イオンバランスの調整、骨を作るのに必要な活性型ビタミンDをつくったりさまざまな役割を担っています。
急性腎炎の病状
- 食欲不振
- 元気がない
- 尿が減る
- 尿の色が濃い
- 血尿が出る
といった見た感じの異常だけでなく尿の異常があらわれます。
進行すると、ペットの体内に毒素が溜まり嘔吐を繰り返したり、元気が無くなっていきます。
それと同時にペットの口や尿から強いアンモニア臭がする事によって気づくことが多いのではないでしょうか。
また、おしっこのときや排便時にも、苦痛によって声を上げるという場合が見られます。
慢性腎炎
急性腎炎が長期間続くと、慢性腎炎となります。
慢性腎炎の場合は症状がわかりにくく、 腎不全に進行するまで気づかないこともあります。
初期症状としての特徴は、水をよく飲み、たくさんおしっこをするようになることです。
原因
急性腎炎の原因はざまざまで
- アデノウィルスなどへの感染
- 子宮蓄濃症
- 糖尿病
などがあります。
腎臓病は、腎臓にダメージを与えるさまざまな要因が、長年にわたって少しづつ腎臓の組織を壊して、ある一定のダメージを超えたとき急速に進行すると考えられています。
また、破壊された箇所は治ることがなく、残っている部分で機能するしかありません。
そのため年を重ねるほど腎臓病になりやすくなってしまいます。
急性腎炎
急性糸球体腎炎ともよばれる病気です。
腎臓内にある糸球体という血液のフィルターの役割をしているところに異常が起こります。
基底膜が炎症を起こし、正常に血液をろ過することができなくなるという病気です。
慢性腎炎の原因はよくわかっていませんが、急性腎炎が1年以上続くと慢性化するようです。
高齢犬に多いことから、加齢も原因のひとつと考えることができるでしょう。
猫よりも犬のほうが慢性腎臓病は問題
腎臓の機能に犬と猫では違いがあるため処置や気づくタイミングが少し違います。
猫の腎臓病
猫と犬では腎臓が違います。それは祖先に関係しているようです。
猫の発祥の地は中東の砂漠地帯に住むリビアヤマネコが始まりではないかと推測されています。
水の少ない地域で順応していくために猫は少しちがった機能が特化しました。
体内で腎臓でろ過する際に、水分を体内で再利用することに重点をおいた作りにしたのです。
より尿から水分を減らして体内にとどめられるようになっています。
犬の腎臓 | 猫の腎臓 |
血液をろ過する機能が低下 | 血液から水分を再利用する機能が低下 |
毒素がたまりやすくなる | 血液が濃くなる |
猫は腎臓病になると水分を再吸収する働きが低下して水分を失いやすくなるので、血液が濃くなってしまいます。
そのため血液中の毒素が濃くなりやすく、早い段階で異常が現われます。
犬の腎臓病
犬のほうが猫より腎臓病が深刻です。
犬の腎臓 | 猫の腎臓 |
血液をろ過する機能が低下 | 血液から水分を再利用する機能が低下 |
毒素がたまりやすくなる | 血液が濃くなる |
犬の腎臓病はろ過する機能が低下して、体内に毒素がたまることによって異常が現われます。
そのため、異常に気が付いたときには病気が進行してしまっていることが多いようです。
猫の場合は、水分を補ってあげることで血液中の濃度を下げて症状を緩和することができますが、犬の場合はろ過機能が自体が低下してしまうので、血液中の毒素がたまってしまいます。
そのため、異常がでるときは毒素がたまっている状態です。
早く病気を見つけることが重要です。
予防
腎臓病を予防するためには、減塩した食事と水分を十分に摂取することが大切です。
ただ一般的な量のキャットフードを食べていれば、大きく食事のバランスが崩れることはありません。
総合栄養食と新鮮な水を自由に飲める環境と、おやつをあげすぎないことが大切です。
重症になると腎不全に移行するので、その前に対処をすることが大切。
急性腎炎はウイルスに関係しているので、ワクチン接種が有効な予防法になります。
治療
根本的な治療法はありません。
一度壊れたろ過機能は回復することがないためです。
そのため治療は食事療法や輸液を行って負担を減らしたり、お薬で残っている機能を温存していくことが目標になります。
腎臓病用ドッグフードを食べよう
リンやたんぱく質を減らすことで腎臓の負担を減らすフードになっています。
食欲が落ちないように美味しそうな香りに仕上げてある。
腎臓に負担をかける栄養素リン
リンは骨や歯、細胞を作るために必要な栄養素ですが、腎臓のフィルター機能が低下している状態だと体内に余ったリンが蓄積してしまいます。
専用のペットフードはリンを少なくしてあるものです。
犬も猫もリンを制限したほうが寿命が伸びるという研究結果もあります。
タンパク質控えめ
タンパク質は分解されアミノ酸となって肝臓へ運ばれますが、そのあと再合成されるときにアンモニアが発生します。
これを毒性の少ない尿素に変換されて腎臓に贈られるわけですが、腎臓の機能が低下していると尿素が体内にたまって尿毒症になってしまいます。
そのため専用ドッグフードはタンパク質を制限して作られています。
フォルテコール
有効成分が血管を収縮させている物質を作り出す酵素の働きを抑えることで、血管が広がります。
心臓の動きを心臓の働きを助けたり、尿中にタンパクが漏れ出すのを防ぎ腎臓を保護したりします。
腎臓病用キャットフードを食べよう
猫はもともと肉食の生き物です。
そのため食事から得たタンパク質で体の維持やエネルギー源としています。
猫の腎臓病における食事は、初期の症状でも進行してしまった状況でもタンパクを制限しすぎることはないようです。
セミントラ 猫用
有効成分のテルミサルタンを含有する猫用の慢性腎臓病(慢性腎不全)治療薬です。
テルミサルタンとは?
腎臓のフィルター機能である糸球体の高血圧を抑制することで残った機能の劣化を大幅に遅らせることができます。
尿の中へのタンパク質が漏れるのを抑えて、尿細管周囲の炎症や、糸球体の硬化を防ぎます。
この薬剤はほぼ100%の割合で肝臓から胆汁と一緒に排泄されます。
そのため、腎臓の機能が悪くなっているワンちゃん猫ちゃんでも使用する事ができます。
対処療法である
猫の慢性腎臓病は、猫全体では10%、高齢猫の最大35%にもなります。
かなりの割合で猫は腎臓病にかかっていることになります。
症状がでてくるというのは体内に毒素がたまってきてしまった状態です。
このお薬は根本的な治療にはなりませんが、残った腎臓の機能を長持ちさせることが可能です。
経口薬
このお薬は注射ではなく、経口薬です。
注射器のような形のもので計量し飲ませてください。