アジスロマイシンが有効なのはおもに“細菌”による感染症です。
細菌のたんぱく質の合成を阻害し増殖できなくします。
それにより細菌による炎症、化膿、感染症に有効です。
本来は人間用医薬品で、クラミジアの治療によく処方される抗生物質です。
真菌やウイルス性の病気には効果がありません。
アジスロマイシンの作用
作用面からはたんぱく合成阻害薬に分類されます。
すなわち、細菌内に取り込まれたあと、蛋白合成開始複合体(70Sリボゾーム)の構成物質(50S)に結合し その機能を妨げ、蛋白鎖の伸長を阻害することにより細菌の発育を阻止するのです。また、本来の抗菌作用とは異なる抗炎症作用も認められています。
好中球が炎症部位に集まるのを抑えたり、活性酸素産生能を抑制する作用です。
わかりやすく言うと、細菌のタンパク質の成長を阻害して発育を防止する。
さらに、抗炎症作用もある。
この系統は、一般的には静菌的に作用しますが、高濃度では殺菌的作用を示します。
とくにアジスロマイシンは胃酸による影響を受けにくく高い組織内濃度を維持することから、菌種によっては少ない量でも十分殺菌的に働くとされます。
この系統の一番の特徴
一般的な抗生物質(βラクタム系=ペニシリン系、セフェム系等)が効かない非定型菌のマイコプラズマやクラミジアに有効なことです。
アジスロマイシンの特徴
細菌を殺菌するお薬です。細菌が原因のいろいろな病気に用います。
マクロライド系の新しい抗生物質です
アレルギーを起こすことが少なく、ペニシリン系やセフェム系抗生物質にアレルギーのあるペットにも注意して使用できます。
また、他のマクロライド系抗生物質でしばしば問題となる薬物間相互作用の心配が少ないです。
こんな菌に効きます
- ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌
- モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス
- インフルエンザ菌
- レジオネラ・ニューモフィラ、
- ペプトストレプトコッカス属
- プレボテラ属
- クラミジア属
- マイコプラズマ属
一番の特徴は、マイコプラズマやクラミジアに有効なことです。
一般的な抗生物質(βラクタム系)は効かないが、アジスロマイシンは効果を示します。
ただし、肺炎球菌に対してはβラクタム薬(ペニシリン系、セフェム系等)より感受性に劣ります。
また、効き目の悪い耐性菌が増えています。
長く効く
胃酸による不活化をほとんど受けず、体内によく吸収されます。
感染部位で高い組織内濃度が得られ、また血中半減期が時間とともに延長する。
1日1回3日間の服用で既存の同類薬を7~14日間使用した場合と同等の効果が得られます。
使用上の注意
お薬なので注意点があります。
飲み合わせ
他の同類薬に比べ、飲み合わせの悪い薬は少ないですが、一部の胃腸薬(制酸剤)と同時に飲むと、この薬の吸収が悪くなるかもしれません。
注意ポイント
下記の薬との併用により、これらの作用を増強する可能性があります。
- 抗血栓薬のワルファリン(ワーファリン)
- 免疫抑制薬のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)
- 強心薬のジゴキシン(ジゴシン)
副作用
腸を動かす性質があるため、内服してから数時間後に少し下痢する場合がございます。
お腹がグルグルと動いて急に下痢する場合もあります。
これは、アレルギーとか何か薬が合わないために起こった現象と思われがちです。
しかし、この下痢は1回だけのことが多く、他の抗生剤のように
「良い細菌=腸内細菌」
がやられてしまうために起こる下痢とは異なりますから、何度も続くことは少なく心配はございません。
アジスロマイシンの注意点
1日1回の使用でよく、かなり広域に抗菌作用がある優秀なアジスロマイシンですが、残念ながら消化管からの吸収がよくありません。
使用する際は吸収率を向上させるために、必ず空腹時に投与しましょう。
食前又は食後最低2時間後に投与しましょう。
耐性菌について
抗生物質の効きにくい細菌が増えています。
ある調査によると、中耳炎を起こす肺炎球菌の7割が抵抗力を持っていたそうです。
このような耐性菌を増やさないため、欧米では抗生物質の安易な使用は慎まれています。
中途半端な飲み方をしていると、病原菌が抗生物質に抵抗力をそなえてしまいます。
薬剤耐性を獲得するわけです。
自分だけの判断で服用量を減らしたり、よくなったからと途中で中止してはいけません。
指示された期間きちんと服用を続け、原因菌を完全に死滅させることが大事です。
適応症
皮膚 | 深在性皮膚感染症 |
のど | 咽頭・喉頭炎
扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む) |
くちまわり | 歯周組織炎
歯冠周囲炎 顎炎 歯肉口内炎 |
耳 | 滲出性中耳炎 |
鼻 | 副鼻腔炎 |
呼吸器 | 急性気管支炎
肺炎 肺膿瘍 慢性呼吸器病変の二次感染 |
泌尿器 | 尿道炎 |
生殖器 | 子宮頸管炎 |
感染症 | バベシア症 |
アジスロマイシンのお薬
犬の場合 | |
用量 | 用法 |
体重1kgあたり
5~10mg |
1日 1回
(最大7日間まで) |
猫の場合 | |
用量 | 用法 |
体重1kgあたり
5~15mg |
12~24時間毎
(最大7日間まで) |
※使用期間・使用量は症状によって異なります。必ず獣医の指導に従ってください。
ジスロマック 細粒
(Zithromax)
ジスロマック細粒は、ファイザー製薬のマクロライド系抗生物質アジスロマイシンです。
9mlの水を加える事で200mg/5mlの薬液15mlになります。
例:猫4kgの場合
まずお薬を作ろう
パウダーに9mlの水を加える事で薬液15mlを作ります。
オフホワイトの混濁液になるまでよく混ぜる。
薬液5mlにはアジスロマイシンが200mg含まれています。
1mlの薬液には40mgのアジスロマイシンが含まれている。
4kgの猫の必要量
1㎏あたり 5mg与えたい場合 20mg = 薬液0.5ml
1㎏あたり15mg与えたい場合 60mg = 薬液1.5ml
症状に合わせて量を調節しましょう。
商品名 | ジスロマック 細粒 200mg/5ml |
内容量 | パウダー 15ml |
ジスロマック 錠剤
体重1kgあたりアジスロマイシンとして5~10mgを1日1回
3~7日間経口投与する必要があります。
1錠あたり250mg なのでキロ当たり25mg投与の場合
1錠で25㎏になります。
大型犬以外はピルカッターなどで割って使うほうが良いでしょう。
アジプロ 250mg
有効成分 | 1錠あたり 250mg |
内容量 | 1箱 6錠 |
アジプロ 500mg
有効成分 | 1錠あたり500mg |
内容量 | 1箱 3錠 |
アジップ
アジー
有効成分 | 1錠あたり 250mg |
内容量 | 1箱 60錠 |