犬の急性胃炎とは胃の粘膜が急に炎症を起こす状態す。
急性胃炎は通常1週間以内におさまる症状ですが、犬は繰り返し何度も嘔吐します。
症状の原因はさまざまです。
症状
よだれを頻繁に垂らすことがあり、吐き気をもよおしたり、おう吐が見られます。
急性胃炎は胃で強い痛みが起こるため、腹部を伸縮させながら胃の内容物をくり返し吐きます。
水をたびたび飲んで、さらにおう吐をくり返すこともあります。
その結果、体内から水が失われて脱水症状になります。
また、吐いたものの中に血がみられることもあります。
脱水症状とは?
原因
胃の粘膜に炎症が起こっている状態が急性胃炎です。
急性胃炎の原因として考えられるのは何らかのものを食べた場合です。
- 腐った食べ物
- 飲み水が腐っていた
- 毒物、毒素
- 草
- 木
- ごみくず
このような異物を食べたことで急性胃炎になります。
また、獣医師の与えた薬などが原因になることもあります。
これらのモノを食べてしまうと胃の粘膜を刺激し、 延髄にその信号が送られ、反射的におう吐がおこります。
おう吐の回数がふえると、水を飲む回数もふえ、これがまたおう吐につながります。
その結果として犬の体内から水分が失われることになります。
脱水症状に注意が必要です。
死亡の危険性
腐った食べものを何度も食べた場合には、細菌や毒素などが複雑に関係します。
症状がひどい場合には、死亡することもあります。
毒物として考えられるもの
- 農藥
- 殺虫剤
- 殺鼠剤(ヒ素)
- カリウム
- 鉛
- 不凍液(エチレングリコール)
これらが日常で考えられる食べてしまう可能性が高い毒物です。
このような場合、中毒症状と考えられます。
犬が食べてはいけないもの
人間が食べても影響はありませんが、犬が食べると危険な食べ物があります。
食べると胃の中を刺激して炎症が起こります。
玉ねぎやチョコレート、アボガドなどさまざまなモノがあります。
急性胃炎の原因となる植物
普段目にする植物でも意外と毒を含んでいる場合があります。
ペットがそれらを口にすることで症状が現われます。
これらの植物は毒素を持っています。
- キョウチクトウ
- ポインセチア
- ヒヤシンス
- スイセン
薬品によるもの
アスピリン、インドメタシンなどの抗炎症薬で胃炎になることがあります。
そのため獣医師からもらった薬が原因となることもあります。
寄生虫によるもの
寄生虫に感染することによって胃炎になる場合があります。
考えられるのが回虫や線虫(フィサロプテラ)など。
細菌やウイルスなどの感染症
イヌ伝染性肝炎、ジステンパー、パルボウイルスなどが原因で急性胃炎になることがあります。
診断の方法
この病気の診断は、推定によるものが大部分になりますが、最近では、胃カメラ(内視鏡)によって胃の粘膜を映し、さらに粘膜の一部をとって調べる検査 (バイオプシー)が普及してきました。
そのため、胃の手術をしている途中に診断できる場合もあります。
症状と腹部の触診、X線検査が重要になってきます。
触診では胃炎であれば、おなかをさわると犬はいやがります。
治療の方法
治療はおう吐と吐出( 吐き出し)を見分けることからはじまります。
そして、おう吐によってどれだけ水分が失われているかを見定めることが治療の重要なポイントとなってきます。
いずれにしても、比較的体力のある動物には、12時間の絶水と24時間の絶食をさせます。
ただし、犬がどうしても水をほしがる場合には、氷を少量なめさせるとよいでしょう。
これは胃の粘膜を冷やすはたらきもあります。
治療の方法は原因によって異なります。
異物を食べた場合
まず、その異物を吐かせても安全か考える必要があります。
ペットが異物を食べた場合、例えばコインやビー玉のようなものなら吐かせても問題はありません。
しかし、安全ピンや針などのように途中で引っかかって食道を傷つける可能性があるものは、吐かせてはいけません。
吐かせる方法
塩水を飲ませます。
小型犬であればスプーンに約2杯、大型犬であれば5~6杯与えます。
このようにしても吐かない場合や、吐かせると危ないときには、内視鏡の鉗子を用いたり手術をおこなって体内からとりだす必要があります。
おう吐に血液が見られる場合
おう吐の中に出血がみられる場合には、2つの緊急の問題が存在します。
- どのくらい血液が失われたかということ
- 出血に対して動物が生理学的にどのように反応したか
通常、胃からの出血はいつおこったかがわかりにくく、出血の前に貧血であったか、または多血症であったかを調べる必要があります。
これは時間をおいて血液検査をおこなうとわかります。
重症の貧血のときには、 輸液や輸血をおこなうこともあります。
嘔吐が続くと脱水症状になることが多いために、ほとんどの場合輸液が行われます。
症状が重い場合には点滴療法が取られます。
急性胃炎は原因によって治療法が違いますが、いずれにしてもできるだけ早く対応しなければなりません。
急性胃炎の予防
急性胃炎の最も多い原因は誤飲や誤食です。
ペットの近くに食べてしまう可能性のあるものを置かないだけで予防が可能です。
散歩中に落ちているものにも気を付けましょう。
感染症を予防しよう
ジステンパーやパルボウイルスといった感染症が胃炎の原因となることがあります。
これについては予防接種が有効です。
寄生虫を予防しよう
寄生虫に感染についてわざわざ便の検査を行うのはちょっと現実的ではありません。
最も良いのはオールインワンタイプのフィラリア薬を使うことです。
オールインワンタイプはさまざまな寄生虫に効果的です。
- フィラリア薬
- ノミ・ダニ
- 消化管寄生虫
フィラリア予防とついでにやってしまいましょう。