鼻炎は鼻腔内に発生した炎症で、その原因はさまざまです。
鼻腔や副鼻腔にウイルスや細菌、真菌あるいは異物が侵入したときに発生します。
このほか、下記のような口腔内疾患が考えられます。
- 口蓋裂
上あごに亀裂が入っていて鼻とつながってしまう先天性の病気、交通事故や電気コードを噛んでやけど下と場合などにありえます。 - 歯根部疾患
歯の根元に菌が侵入して炎症を起こします。
歯を抜くことになってしまう場合が多い。
またアレルギー性鼻炎も考えられます。
症状
症状が軽い場合には、水のような鼻汁が少し出て、それが乾いて鼻のまわりに付着する程度です。
初期症状としては、水のような鼻水とくしゃみです。
くしゃみと鼻水は、鼻腔や副鼻腔に侵入した微生物を押し出すための防衛システムなのです。
しかし、鼻水が多いと、鼻腔が詰まって口で呼吸するようになることがあります。
鼻炎は鼻涙管を詰まらせやすく、その結果、目ヤニがみられるようになります。
ひどくなると・・・
鼻水が濃くなり粘り気のあるものになります。
うみのような鼻汁になったり、血液が混じるようになります。
鼻水が絶えずでてくるようになり、鼻の外側もただれてきて、しきりに鼻を気にするようになります。
そのため犬は気にして前足で鼻をこする動作をするようになります。
鼻炎の進行により、鼻の粘膜は炎症をおこし腫れます。
さらに、鼻水で鼻腔が塞がれため、呼吸困難を起こして、口を開けてゼーゼーと苦しそうに息をします。
原因
鼻水によって違うのですが
水のようなサラサラした鼻水
アレルギー性鼻炎やウィルス感染の初期症状である可能性が高いです。
黄色や緑色のドロッとした鼻水
これらの鼻水の場合は下記のような原因が考えられます。
ウイルスや細菌の感染
いわゆる鼻風邪がその一つ、ジステンパーウィルスの感染で鼻炎が起こることもあります。
鼻水が長く続くような場合、伝染性気管気管支炎「ケンネルコフ」の場合があります。
- 細菌性化膿性鼻炎
- 犬ジステンパーウイルス
- 猫のヘルペス
- カリシウイルス
真菌性
真菌はカビなどのような菌糸で増える生き物です。
これらによって真菌性鼻炎が起こっている可能性があります。
- アスペルギルス
- クリプトコッカス
刺激物
犬の嗅覚は人間よりもするどいため、逆に匂いを強く感じ取ってしまいます。
芳香剤や香水、タバコの臭い、排気ガスや薬品の刺激臭、けむりなどを吸い込み、鼻粘膜が刺激されることが原因で鼻炎になることもあります。
アレルギー
犬も人間のように花粉症などのアレルギーになったりします。
透明な水っぽい鼻水をポタポタ落とします。くしゃみや目の充血も見られるでしょう。
花粉、カビやホコリなどによるアレルギー反応が原因の場合は、アレルギー性鼻炎と呼ばれます。
その他
- 鼻内部に腫瘍ができている
- 異物によって傷ついている
- 歯の病気、歯牙疾患
- 鼻の骨折
これらによって起きる鼻炎が考えられます。
治療
炎症を抑えて、原因を取り除きます。
腫瘍が原因で起こる鼻炎でなければ、広域スペクトルの抗生物質を投与しますが、さらに消炎剤を合わせて投与すると効果的です。
基礎疾患
鼻炎の原因となる病気がある場合は、その治療を行うことで良くなるでしょう。
アレルギー
アレルギー性鼻炎は、ステロイド剤の投与によってほとんどの症状は治まりますが、再発させないためには原因となっている物質であるアレルゲンを生活環境から取り除くことが必要です。
しかし、アレルゲンの特定は難しく生活環境を良く調べなければなりません。
予防
鼻炎症状は気がついたら早めに獣医に見てもらいましょう。
進行してしまう前に治療を行えば早く治ります。
ペットにも財布にも優しいでしょう。
鼻炎を放置しないようにしましょう
鼻炎は進行すると、副鼻腔炎を引き起こします。
鼻腔の奥に、副鼻腔と呼ばれる複雑に入り組んだ空動があります。
鼻炎が長引いたり、放置しておくと、この副鼻腔にも炎症が広がり、鼻づまりが激しく、呼吸困難の症状が起こります。
蓄膿症に注意
副鼻腔炎が慢性化すると副鼻腔の入口が炎症で狭くなったり閉じたりして、副鼻腔の中が化膿して、膿がたまります。
これが蓄膿症と呼ばれるものです。
ウイルス性
ウイルス性鼻炎には定期的な予防接種が効果的です。
予防接種に該当しないウイルスや細菌に対しては、日ごろからストレスを避けることで免疫力を高め、鼻の粘膜を刺激するような物質にさらされない環境にしてあげることも大切です。
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