イヌは、散歩の途中でときどき道路わきの草を食べて、それを後で吐き出すなんてことが多々あります。
また、必要以上に大量に与えられた食べものをむりして食べたり、味の濃い食べものを食べたりして吐くこともあります。
これらは病気のせいではなく、動物が体を正常に保つために行う生理現象といえます。
しかし、このような理由がないにもかかわらずおう吐をしたら、 それは病気や中毒のサインだとみなくてはなりません。
- 1日のうちに何度もくり返して吐いたりする
- 吐き気をもよおす
- はげしく苦しそうに吐く
- 吐いたものの中に血や異常な内容物がまじっている
- 有害な薬物や異物を呑みこんだために吐く
こんな症状のときは注意が必要かもしれません。
場合によっては重大なあるいは緊急を要する病気の可能性があります。
考えられる原因
胃や腸の病気
吐くという症状の原因としてまず考えられるのは、胃や腸の病気です。
しかしほかにも、全身的な病気や神経系の異常などが原因で吐き気は起こります。
生理現象として吐く場合には、犬や猫は苦しがらず、食べたものがそのままの形で出てきます。
このようなときには、犬や猫は吐いたあとには何こともなかったかのように元気に行動しています。
しかし、このような吐き方でも、 毎日くり返すようなら、栄養の抵取量が不足している可能性があります。
また、食べものを反射的に吐くときは、巨大食道症などの病気の可能性があり、 吐いたものが気管に入ると肺炎になるおそれがあります。
急性の病気のとき
犬や猫が腹部や胸部横隔膜の筋肉全体を波打たせるように動かして苦しそうに吐くときには、急性の病気の可能性があります。
もし、このようなおう吐をくり返したり、またおう吐物の中に血がまじっていたら、緊急事態と考えなければなりません。
はげしいおう吐
はげしいおう吐を起こす原因はいろいろあります。
例としては、
- 食べすぎ
- 異物 (プラスチック、 布、石、焼き鳥の串、かたい骨など)を呑みこんだ
- 異物によって腸閉塞を起こしたとき
このようなときには吐き気の症状を見せます。
また、吐こうとするが吐けないで苦しむ場合もあります
腹部が張ってきたり、食欲がなくなります。
胃の異変
ほかにも胃潰瘍、胃捻転、胃拡張などがおう吐を引き起こす原因となります。
これらはいずれも救急の治療を必要とします。
胃捻転が起こるのは、犬がひどい大食いをした直後に激しい運動をすると起こりやすいので注意しましょう。
とりわけ胃捻転や腸閉塞が原因の場合には緊急手術を必要するでしょう。
手遅れとなってショック死することも少なくありません。
感染症
パルボウイルス感染症、ジステンパー、レストスピラ症、肝炎などの感染症によっても症状が起こります。
犬は元気がなくなり、はげしく吐いたり下痢をします。
吐いた物や下痢便には血が混じることもあり、緊急の治療が必要です。
その他
- 腎臓の働きが悪化して尿毒症を起こしている
- メスで子宮蓄膿症が進行している
- 交通事故などで頭部を強く打った
- 中毒を起こした
などでも、犬はおう吐の症状を見せます。
いずれの場合でも激しく吐くというのは重大な病気やけがの兆候ですから、大至急、獣医師に見せる必要があります。
その際には、犬のおう吐の症状についてなるべく正確に説明しましょう。
それによって的確な治療を行うことができるでしょう。
考えられる主な原因
- フィラリア症
- 消化器の病気
- 尿毒症
- 急性腎不全
- 腎炎
- 子宮蓄膿症
- 頭部の強打
- 腹部の腫瘍
- 悪性リンパ腫
- 糖尿病性ケトアシドーシス
- 感染症
- 内部寄生虫
- 異物を呑み込んだ
- 中毒
- 過食