鞭虫症は犬によくみられるタイプの寄生虫病です。
寄生数が少ないうちは大した症状はありませんが増えると、下病や血便をおこし、食欲不振を引き起こすようになります。
ほかの寄生虫と混合感染していると、重症化しやすい病気です。
鞭のような形をしているので鞭虫となずけられました。
こんにちわ!オレ、鞭虫って言います。
主に大腸のほうに住まわせてもらってます。
もう少ししたら盲腸のほうに引っ越すつもり!あ、普段ですか?
ちょっとだけ血を吸って生活してます。
いや、ほんとちょっとだけですよ!自分・・口ちっちゃいんで!
症状 消化器に症状があらわれる
成虫は盲腸、ときに結腸に寄生し、先端部分を粘膜深くに挿入するため、数が多くなると腸管粘膜に充血、浮腫、出血、びらんなどが起きる。
寄生虫の数が少ないときには、便がやわらかくなったり、排便のあとに血の混ざった粘液が出たりする程度です。
しかし、鞭虫の数が多くなると、お腹が激しく痛むようになり、 なかなか便が出なくなります。
鞭虫は、盲腸の壁から血液をとって栄養をまかないます。
そのため、貧血や栄養不足から、やせて毛づやが悪くなります。
鞭虫の体内でのルート
感染した犬の便に含まれる卵が口から入ることで感染します。
1.口から鞭虫の卵が入る
便を食べていなくても間接的に口に入ることで感染します。
- 便のにおいをかいだときに鼻の頭に卵が付着し、その後鼻をなめて卵が口に入る
- 虫卵が混じった水たまりの水をなめた
- 足などの体表に付着していた虫卵をグルーミングの際に飲み込んだ
寄生虫ではよく見られる
「母犬から子犬へ胎盤を通じて体内で感染すること(垂直感染)」
は起こらなようです。
そのため幼い子犬が感染することはほとんどありません。
2.食道、胃を通過して十二指腸で孵化する
卵は十二指腸で孵化して、24時間以内に粘膜内に潜り込んで腸に移動する
3.小腸で成長し、盲腸に到達する
小腸の粘膜で8~10日かけて成長し盲腸に降りてきます。
盲腸で体の一部を粘膜に差し込んで吸血し、メスの場合はここで産卵します。
感染後80日で産卵を開始し1日に数千個の卵を産みます。
4.卵は便と共に排出される
卵は盲腸から大腸を経て、便と共に外に排出されます。
排出された卵は16~35日で感染力のある幼虫になりますが、孵化はしないで卵の状態で感染の機会を待ちます。
成熟卵は非常に抵抗性が強く、草の上や土の上では約1年ほど、屋外で土の中なら5年にわたり生存可能です。
また、暑さや凍結にも強いです。
鞭虫症の治療
薬を使って虫を取り除く
寄生数が増えると、便の中に卵だけでなく成虫も含まれるようになります。
これで初めて飼い主が気づくことが多いようです。
駆虫薬を飲ませましょう。
お薬を使えば、ほぼ確実に駆虫することができます。
下記のような成分が有効であることが報告されています。
- フルベンダゾール
- イベルメクチン
- ミルベマイシンオキシム
- フェバンテル
ちなみに回虫、鉤虫、蟯虫に有効なパモ酸ピランテルは鞭虫に対し ては無効である。
混合感染と言って他の種類の寄生虫も寄生してしまって重症の場合
症状に応じて、栄養剤や整腸薬、下病止めなどを使います。
ドロンタールプラス
メーカー | バイエル |
商品名 | ドロンタールプラス |
内容量 | 20錠 |
- プラジカンテル
- パモ酸ピランテル
- ファバンテル
プラジカンテルとフェバンテルが鞭虫に効果があります。
ウォレックス
ドロンタールプラスのジェネリック
そのため有効成分は同じです。
ジェネリックは価格が安くなっている。
有効成分 |
プラジカンテル 50mg |
パモ酸ピランテル 144mg |
ファバンテル 150mg |
内容量 | 1箱 40錠 |
1箱 | 2,893円 |
2箱 | 5,118円 |
その他にも虫下しはさまざまなメーカーから出されています。
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パナクール【フェンベンダゾール】
パナクールは消化管や呼吸器系の寄生虫駆虫薬です。 有効成分はフェンベンダゾールです。 回虫、鉤虫といった色々なおなかの寄生虫に効果を発揮します。 有効成分フェンベンダゾール ...
オールインワンタイプ
おすすめはオールインワンタイプです。
- 犬糸状虫(フィラリア)の寄生予防
- ノミおよびマダニの駆除
- 回虫(犬回虫、犬小回虫)
- 鉤虫(犬鉤虫)
- 鞭虫(犬鞭虫)
オールインワンタイプはこれらの寄生虫を防ぐことができます。
一度で済むのでもっともおススメです。
ネクスガードスペクトラ
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コンフォティスプラス
コンフォティスはノミとマダニの駆除、消化管寄生虫の駆除ができるお薬です。 新たに成分をプラスして「フィラリア症の予防」ができようになりました。 ノミ・マダニだけでなく一度の投与でフィラリア対策もできる ...
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センチネルスペクトラム
センチネルスペクトラムは、犬用の内部寄生虫駆除薬です。 フィラリアや消化器を好む寄生虫を駆除することができる飲み薬です。 毎月一回決まった日に投与するだけです。 効果 これらのような寄生 ...
感染してしまった後のケア
鞭虫はペットの腸から直接養分を奪い取ってしまう生き物です。
その寄生数が多くなってしまった場合、栄養失調が起こり弱ってしまいます。
早急に免疫力をあげないと他の病気になるリスクが発生します。
食べ物
治療中や治療後など栄養を補給することはとても重要です。
脂肪とタンパク質を多めに摂取させましょう。
食事の40%ほどをタンパク質にしてあげるとよいようです。
猫の場合は犬よりもタンパク質を多く必要としています。
脂肪分の摂取に最適な油
- えごま油
- 魚油
オメガ3脂肪酸が多く含まれ、炎症が起きにくい強い粘膜細胞を作る材料になります。
サプリメントもいい
鞭虫感染が深刻なときには、貧血状態です。
鞭虫が吸血しているせいです。
そのためビタミンとと鉄分のサプリメントも有効です。
予防
環境を見直して感染を防ぐ
現代の駆虫薬を使用すれば、感染してしまってもほぼ確実に駆虫することができます。
しかし、鞭中の卵は非常に強く再感染する可能性は十分にあります。
虫卵はめちゃくちゃ強い
鞭虫卵は耐久力がかなり強く、暑さにも強い、凍結しても大丈夫。
消毒薬にも強い。
地上で1年は感染力を持って待機する。
地中では5年ほど待てるというタフさです。
駆虫しても再び口に入る可能性はあるのでなんとかしましょう!
再感染の防ぎ方
治療中は再感染を防ぐために、便の処理に気をつけ、犬舎や犬の住む環境を清潔に保ちましょう。
虫卵は便と一緒に排出されますが、でたばかりのときに感染力はありません。
フンは放置しないですぐに処理する必要があります。
虫卵は環境中に拡散すると駆除は非常に困難です。
地面の消毒には消石灰が有効なようです。
石灰なら広範囲に可能ですし、非常に低価格です。
どこで鞭虫に感染したのか見直し、改善して再感染を防いでください。