エールリヒア症は,マダニによって人に伝播されるエールリヒア属のリケッチア様細菌によって引き起こされる。
発熱,悪寒,頭痛,倦怠を伴い突然発症する。
症状
発症ははおおよそ8~20日間後です。免疫が正常なら、犬は、ほぼ生存して保菌犬となります。
重症度は、菌の種類や動物の状態によりますし、混合感染でより悪くなる場合もあります。免疫が低下していると、重篤な疾病になります。
急性期
菌が小血管周辺の単核細胞に付着したり、内皮組織内に移動して血管炎を起こします。
そのため、紅斑熱とよく似た症状となります。
血管炎と軽度な血小板減少症が、点状出血や出血所見が認められます。
急性期の出血はそれほどひどくありません。
およそ2~4週間程度続きます。
主な症状
・高熱・平熱を繰り返す間欠熱
・リンパ節腫脹
・脾腫
・肝腫大
・出血(鼻)
・体重減少
不顕性期
不顕性期は、数ヶ月から数年、持続します。このときに菌体を排除できる犬もいますが、細胞内に持続感染すると、慢性期に移行します。
慢性期
血小板減少症、血管炎に加えて、血小板機能異常が起こります。
また肝腫大、脾腫、リンパ節の腫大は、免疫が活性化されたために起こる症状が見られます。
眼炎症状
・網膜出血
網膜表面の血管の破綻や閉塞することで起こる網膜の出血である。
・前眼房出血
出血のため、目が赤くなります。
角膜の後ろにある前眼房で出血するため、血液が外に流れ出してくることはありません。
・ブドウ膜炎
ぶどう膜炎が生じると、目の中の透明な前房と硝子体に炎症性細胞が浸潤します。
霧視(かすみがかかったように見えること)や飛蚊症(虫が飛んでいるように見えること)
羞明感(まぶしく感じること)、その他、視力低下、眼痛、充血などの症状がみられます。
・網膜剥離
眼球の内側にある網膜という膜が剥がれて、視力が低下する病気です。
中枢神経症状
・抑うつ
・運動失調
・不全麻痺
・眼振や発作
原因
マダニに咬まれて吸血される際にダニの唾液から感染します。
この菌は感染していないマダニが、急性期のリケッチア血症の犬を吸血してダニが感染し、その後、他の犬にそのダニが寄生して吸血した際に、他の犬に感染します。
この菌体は、マダニが生んだ卵には菌は居ないでマダニが輸送役になっているということである。
治療
テトラサイクリン系抗生物質で、早期に治療を行うと非常に効果的です。
病気が慢性化し、骨髄抑制が起こった場合には、抗生物質による治療が数か月に及ぶことがあります。
予防
現在はワクチンが開発されていないので、定期的にマダニ駆除薬を使用してマダニに咬みつかれるのを防いで感染を予防するしかありません。
スポット薬が有効です。
人へもマダニを介在して感染します。犬から直接もらうことはありません。