泌尿器

慢性腎不全

治療の方法

腎臓のろ過機能であるネフロンは壊れると元に戻ることはありません。
そのため完治を望むことはできず、ゆっくりと病気は進行していくことになります。

大切なことは早期に発見し進行を緩やかにし、生活の改善も行っていく必要があります。
残っている腎臓の機能を長く持たせれば、それだけ健康でいられます。

 

慢性腎不全の治療では、輸液と食餌療法が中心になります。
また、体内のたんばく質の分解をおさえるために、たんばく同化ホルモンを与えることもあります。
症状によってはカルシウム剤も投与します。

 

1.輸液

腎不全により尿の量が増えると脱水しやすくなります。
初期の段階ではいつでも水がたっぷり飲める環境を整えてあげることが大切です。

病気が進行し、脱水が起こるようになると、状況に応じて強制的に水分を補給する方法として、輸液をおこないます。
輸液剤はそれぞれの症状、検査結果を考慮しながら選びます。

 

2.食餌療法

治療の中心はたんばく質のコントロールと塩分を制限した食餌療法です。
カロリーの制限と共に、他の必要な栄養素をバランスよくとらなくてはいけません。
腎不全におかされていても、体はたんばく質、脂肪、 炭水化物のそれぞれが必要となります。

 

タンパク質の摂取

 

たんばく質は高品質のものを最小限におさえて与えます。

好ましいタンパク質 好ましくないタンパク質
  • 動物性の赤身の肉
  • 鶏肉
  • 鶏卵
  • 乳製品
  • 植物性タンパク質
  • 食肉副産物
  • 乾燥肉
  • 魚肉

たんばく質は1日に体重1キログラムあたり0・6~1・2 グラム与えます。
しかし高窒素血症が改善されたり血液中のたんばく質が低下したときには、 良質のたんばく質をあまり制限してはいけません。

 

たんばく質コントロールの問題点
動物性たんばくがふくまれていないと食べようとしない犬がいることです。
食事からたんぱく質を補給しない場合、自分の体内のたんばく質を消費することになるので、結果的に余分なたんばく質を与えたのと同じことになります。
そこで、食餌をしない場合は食餌の中に少量のたんばく質を入れ、食べやすくしてやります。

 

塩分管理

 

慢性腎不全では、人間の場合と同様、塩分を制限しなければいけません。

腎機能が低下すると、血液中の余分なナトリウムが尿として排出されなくなります。
このようになると体は血液中の塩分を薄めるために水分を増やします。
その結果、むくみがおこり高血圧につながります。

塩分が多すぎるとネフロンが少しずつこわれます。
しかし急にへらすと 体のはたらきのバランスがくずれるので、時間をかけて少しずつへらします。

体内の水分を使って血液にするので、のどの渇きを感じるため水分を取ってしまいます。

 

3.たんぱく同化ホルモンの投与

タンパク質同化ホルモンとはステロイドの一つで、タンパク質の吸収をよくする働きをもっています。
オリンピックで選手が使ってはいけない薬の一つです。

たんぱく同化ホルモンは体内でのタンパク質の合成を促進し、たんばく質の破壊をおさえます。
さらに骨へのカルシウムの沈着をうながし、赤血球の生産を刺激します。
食欲がないときには 食欲を増進させる作用もあります。

慢性腎不全では定期的に長期作用型のホルモンを投与することがあります。

 

4.カルシウム剤の投与

骨の中のカルシウムが失われる病気(腎性骨異栄養症)になったときには、治療としてはカルシウム剤を与え、腎不全に対する食餌療法をおこないます。

 

5.尿毒症への対策

尿毒症を改善するためには、輸液療法とともに、薬物療法が必要です。

血液中にたまった毒素を排出するために、輸液によって体内の水分を増やします。
そのあと利尿剤を使って尿を出させて排出します。

他にも、毒素を吸着する能力がある活性炭を食べさせることで、体内の毒素を吸着させ便と共に排泄させ改善させる方法などを行います。

 

胃薬

尿毒症によって胃炎が起こることがあるので改善するための薬を投与します。

主に有効成分ファモチジンを含有するH2ブロッカーと呼ばれるお薬を使います。
胃酸やペプシンの分泌を抑えることで、潰瘍や胃炎、出血などの症状を改善するお薬です。

人間は「ガスター」の名前でお馴染みの成分です。

 

ファシッド

内容量 294錠
1錠あたりの成分量
ファモチジン
20mg
ファモチジン
40mg

 

 

ファモジン

 

内容量 60錠
1錠あたりの成分量
ファモチジン
20mg
ファモチジン
40mg

 

高血圧対策

血液の圧力が高くなるほど、肝臓のフィルターの血管に負担がかかり壊れることになります。
高血圧は慢性腎不全を悪化させる要因となります。

そのためACE阻害剤(エースそがいざい)と呼ばれる高血圧のお薬を使うことがあります。
このお薬は、血圧を上昇させる働きがある「アンジオテンシンII」という物質を減らす事で血圧を下げる薬です。

 

アタカンド

犬猫兼用の血圧を下げる効果があるお薬です。
有効成分がカンデサルタン シレキセチルの錠剤で、血管を拡張させ水分や塩分を調整し、血圧を下げる効果が期待されます。
副作用が少なく、長期服用に向いています。

心臓病などにも使われます。
高血圧症に用いられる降圧剤ブロプレスと同成分です。

成分量 内容量 ボタン
4mg 30錠
8mg 30錠
16mg 28錠

 

慢性腎不全との付き合い方

一度慢性腎不全におちいると、いずれまた症状が悪化する憎悪期を迎えて、尿毒症になる可能性があります。
腎不全になった腎臓がふたたびもどることはないので、残された腎臓をこれ以上悪くさせないように配慮する必要があります。
それには犬の体にストレスが加わらないように注意することが大切です。

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