咽頭という「口と食道にある柔らかい粘膜性の器官」で炎症が起こった状態が咽頭炎です。
咽頭は口、鼻、食道とつながっており、発生させる機能や肺や気管に食べ物が侵入しないようにする機能などを備えていますが、炎症が起こればそれぞれの部位にも影響を与えます。
口や鼻の内部の炎症がのどに広がれば呼吸が苦しくなったり、よだれがたれたりします。
全身的な病気が原因となりのどに炎症が起こります。
症状
軽いものでは空せきが出るくらいで、それ以外には特に目立った症状がない場合があります。
咽頭が炎症をおこすため、喉やリンパが腫れるため呼吸がしにくくなります。
そのためゼーゼーという音が聞こえるような呼吸をしたり、さらに呼吸困難の症状をおこして口をあけたまま呼吸をしたりすることもあります。
また、声帯にも影響がでるので声が出にくくなったり、鳴き声が変わったりします。
咽頭炎が悪化した場合
咽頭炎が進行すると痛みを感じるようになります。
そのためのどのまわりを触られることを嫌がったり、食べ物を噛んだり飲み込むことが苦痛に感じるようになります。
食欲に影響がでる
食べる量が減ったり、食事の時間に変化が見られるようになります。
のどに刺激があるため、よだれが出たりえずいたり吐くような動作が見られます。
さらに悪化するとおう吐や吐血なども見られるようになります。
ウイルスなどの感染症が原因による場合には、さらに発熱や元気がなくなるなどの症状も見られます。
原因
咽頭炎はのどの部分に炎症が起こっている状態のことを言います。
咽頭は鼻と口、食道の手前まで広がっている器官で、呼吸によって外からの空気と直接触れる部分でもあります。
そのためさまざまなモノに接触するリスクがあります。
咽頭炎の原因はさまざまです。
吸い込む
有毒なガスや薬品を吸い込むことで咽頭炎を発症することがあります。
これらのモノは刺激性が強く、のどの炎症を引き起こします。
- 排気ガス
- 煙草の煙
- 農薬
- 除草剤
- 調理中の香辛料
- ブリーチや白髪染め
食べ物
犬は雑食の動物ですが、先祖は肉食性の動物であるオオカミです。
そのため犬の歯は構造上、肉をかみ切るために特化した造りになっています。
人間の奥歯のように食べ物をすり潰す形状の歯を持っていません。
そのためのどを通るサイズになっていれば、多少大きくても丸のみする性質があります。
また、群れで行動するタイプの動物だったためより多く食べる為に急いで飲み込みます。
鶏の骨や硬いおやつなどは喉を傷つける恐れがあり、咽頭炎の原因となります。
また、ピアスなどの尖ったものを誤飲する場合もあります。
内科的疾患
ウイルスや細菌による呼吸器感染症などの、内科的な要因で咽頭炎を引き起こす可能性があります。
また、ジステンパーのようなウイルス性疾患の全身症状のひとつとして発症する場合もあります。
空気の乾燥した冬期などに見られやすい。
鼻炎や口内炎の炎症が進行して咽頭にも影響を及ぼす場合、アレルギーによって炎症を起こす場合もあります。
発症リスクが高い犬種
遺伝的な構造や基礎疾患から咽頭炎になりやすい可能性があります。
短頭種
鼻が短い犬種であるブルドッグやパグなどは、咽頭軟骨などに先天性の異常が見られる場合があり、それが原因で咽頭炎が起こる可能性があります。
基礎疾患
副鼻腔炎や歯周病などの病気を持っていると、それが原因となって咽頭炎になる可能性があります。
基礎疾患の治療を治すことで症状の改善が見られます。
アレルギーを持っている犬も発症しやすくなります。
治療の方法
咽頭炎は原因が多岐にわたるため、まず原因を特定することで治療法がわかります。
食べ物などで咽頭が炎症が起こっている場合などでは、エックス線検査がおこなわれたりします。
咽頭は口の奥のため、咽頭鏡や内視鏡などで直接患部を見ることで診断することがありますが、この場合麻酔が必要な可能性があります。
基礎疾患の治療
基礎疾患によって咽頭炎を発症している場合、まず根本的な原因である基礎疾患の治療を行います。
ウイルス性疾患や細菌性中耳炎、鼻炎などの治療を行いつつ、炎症を抑えるためにネブライザーを用いて薬剤を吸引させるなどの処置を行います。
抗菌薬を投与したり、消炎鎮痛剤の投与がおこなわれます。
基礎疾患は早期の発見によって、咽頭炎につながることを防げます。
小さな異変を感じたら獣医師に診断をお願いしましょう。
また、定期検診など行えば、気がつかなかった兆候を発見してもらえるかもしれません。
異物の除去
レントゲンや内視鏡などで喉に腫瘍や異物が見つかった場合には、外科手術が行われる場合があります。
異物を呑み込む場合や尖った食べ物が原因の場合は、飼い主が気をつけることによって防ぐことができます。
生活環境の改善
咽頭炎の原因が吸い込んだガスや薬物、たばこなどの原因はすべて人工物です。
ふたたび発症しないように飼い主による生活環境の改善が必要です。
散歩のコースを変えて排気ガスを避けたり、農薬や除草剤の散布の際には近づけない。
薬品の使用時にはガスの発生をさせないなどの努力を行いましょう。
原因を取り除いた後の治療
基本的には原因を取り除いた後は、簡単な治療で治っていきます。
安静にしてのどの刺激とならないように、柔らかいものを与え回復を図りましょう。
炎症を抑えるためにネブライザーの使用や消炎鎮痛剤の投与が行われる場合もあります。