角膜にキズが付いた状態を角膜裂傷と言います。
傷が深いと角膜の傷口から、眼球の内容物がとびだすこともあります。
症状
角膜の表面に傷がついた状態を角膜裂傷と呼びます。
表面の傷が浅い場合
角膜の表面に浅い傷がついた場合の症状は、角膜炎とよく似ています。
傷がもっと深く、たとえば角膜に先のとがったものが刺さって穴があいたような場合でも、角膜表面の傷口が自然に閉じれば悪化した角膜炎と似た症状になります。
傷が大きくて深い場合
傷が大きくて深いと、傷口がすぐには閉じないため別の症状が現われます。
まず、傷口から眼房水が流れ出し、 眼圧を保てなくなって、角膜がゆがんでしまうことがあります。
眼房水 |
角膜と虹彩および虹彩と水晶体の側の眼房を満たしている液体が毛様体でつくられ、眼房に一定の圧力がかかるようにしています。 また、角膜と水晶体に栄養を補給しています。 |
さらに裂傷がもっと大きいと、他の眼球内容物、たとえば虹彩が外にとび出してしまうこともあります。
このような場合、目の表面に何かがとび出してもり上がっていることがわかるので、大至急、獣医師にみせなくてはなりません。
原因
角膜裂傷の原因のほとんどは犬や猫どうしのケンカや、交通事故その他の事故です。
また、角膜炎や角膜潰瘍が悪化して、角膜に穴があくこともあります。
さらに、角膜炎などの痛みが原因ではげしく目をこすったため、角膜に裂傷を負うこともあります。
診断の方法は明るいライトで日を照らし、 傷の状態を調べます。
治療の方法
大きな傷でなければ、角膜炎と同様の点眼薬による治療を行います。
その際、角膜を保護するために上下のまぶた(眼瞼) や第三眼瞼をそれぞれ縫い合わせて、眼帯の代わりにすることもあります。
裂傷が大きかったり角膜に深い穴があいているような場合、角膜の縫合が必要になることもあります。
このときも第三眼瞼を縫合して眼帯とし、点眼薬を与え、さらに必要なときは内科療法を行います。
傷口から飛び出している
角膜の傷口から虹彩が脱出したときは、虹彩をもとの位置に 押しもどすか切除するかして、 角膜を縫合します。
虹彩はうまくもとの位置にもどることもありますが、角膜と癒着して変形したりして、本来の機能をとりもどせないこともあります。
また角膜を縫合した後に、角膜が変形したり混濁したりすることもあります。
いずれにしろ、角膜にあまり大きな裂傷ができると、完全にもとの状態にもどすことは困難です。
また、虹彩に加えて水晶体が脱出するほどの深い傷を負 ったときは、眼球全体を摘出し なければならないこともあります。
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