犬が出血していたら原因が何であれ緊急事態です。
まず出血の場所がどこかを知る必要があります。
それによって原因をある程度予測できるからです。
出血場所は体の内部と外部に分けることができます。
体内で出血が起こった場合は、血液がイスの口や鼻から流れ出るかおう吐物にまじるか、あるいは便や尿にまじるかします。
大量に出血した場合は輸血が必要なこともありますが、日本の一般の動物病院ではイスの輸血用血液はほとんど用意されていないため、輸血は困難です。
交通事故
犬や猫が交通事故にあって倒れていて、 口や鼻から出血している場合には、口の中か内臓をひどく損傷している可能性が考えられます。
もし、内臓を損傷しているときは、あわてて抱き上げて動かしたりすると損傷がいっそうひどくなり、死亡につながる恐れがあります。
このようなときは犬や猫を近くの安全な場所にそっと移動させ、獣医師を呼ばなければなりません。
吐血したり、よだれやおう吐物に血が混じっている
血を吐いたりおう吐物に血がまじっている、血液のまじったよだれが出るなどの場合には下記のような原因が考えられます。
- 内臓が損傷している
- 口の中かのどにとがった異物が刺さっている
- 毒物を食べた
- 内臓に重いガンができている
- 重い肝臓病にかかっている
(この場合は2〜3 日以内に死亡する可能性が大きい)
などが考えられます。
出血場所が色からわかる
犬の吐いた血の色によって出血場所をある程度想像できる場合もあります。
明るい色の鮮血なら肺からの出血
あまり時間がたっていない血液は酸化していないため鮮やかな色をしています。
肺などから出血する場合は出血してから吐血まで、あまり時間が経っていません。
明るい色なのは、新鮮だからです。
肺や気管支などの呼吸器からの吐血は、量があまり多くないことが特徴で、鮮血の色を持つ吐血を吐いただけで、そのまますぐに命の危険が及ぶことは少ないようです。
しかし、鮮血の色をした吐血の血が気管に詰まり、窒息死する可能性もあります。
黒っぽい血なら胃からの出血
暗褐色の吐血が、嘔吐と共に出た場合、胃や十二指腸に病変があることが多いようです。
吐血までに胃酸などで血が酸化してしまう為、鮮血色ではなく、暗褐色になると言われています。
ただ、同じ上部消化管からの出血でも、吐血量が多く、出血後にすぐ吐血した場合は鮮血色であることもあるので、すべての場合とは言えないので注意が必要です。
下痢と血便
下痢をして血便が出る場合は、 肝臓病などの重い病気の可能性があります。
うんちに血が混じっている場合には大きく2つタール便と血便にわけられます。
赤い色をしている血が出た場合
これは血便と呼びます。
血便は肛門の近くで出血したものが混ざった状態で赤い色をしています。
肛門から出血しているときは肛門腺が細菌に感染して炎症を起こしているかもしれません。
腸炎やポリープ、がんなどの可能性もあります。
赤黒い便
タール便と呼ばれるもので、血が腸内の細菌によって分解されて変色しているものです。
ここからわかることは肛門から遠いところで出血していると考えられます。
胃潰瘍や出血性胃腸炎などの可能性があります。
血尿
健康なときのおしっこは、薄い黄色をしています。
おし っこが赤みや褐色を帯びている場合には、尿に血液が混じっていることが考えられます。
混入した血液が少量なら、いつもより濃く見える程度ですが、血液量が多くなると、茶褐色になり、さらに多くなるとワイン色になります。
考えられる病気
尿に血がまじっていたり尿道から出血しているときは、生殖器か泌尿器の病気が考えられます。
- 膀胱炎
膀胱炎などの細菌性の炎症が起きている可能性も考えられます。
- 尿路結石
腎臓、尿管、膀胱尿道に結石があるときも、結石がこれら臓器の組織を傷つけて血尿が出ます。
乳腺からの出血
メス犬の乳腺から出血していたら細菌感染を疑い、 子イヌへの授乳をただちにやめなくてはなりません。
なお、不妊手術をしていないメスイヌは、生理のために出血する可能性もあります。
外傷
犬の体の外部で出血が起こっている場合は、多くがケガによるものです。
小さな傷ができて出血したときは、飼い主が消毒してやれば自然に治ることもあります。
しかし皮膚が裂けている、内臓が露出している、骨折しているかもしれないなどの場合は重症です。
ただちに獣医師の治療を必要とします。
ケガ以外の原因
たとえばイヌが皮膚ガンになっている場合にも、ガン病巣から血液や膿のまじった体液が流れ出ることがあります。
イヌは非常にガンになりやすい動物であり、とりわけ年をとった犬ではめずらしくありません。
ときどきイヌの頭部や首のまわりの被毛を逆なでするようになでてみて、皮膚に異物がないかどうかをチェックしていれば、ガンがを早期に発見しすることができるかもしれません。