ショック症状ってナニ?
ショック症状という言葉はよく聞きますが、実際にはどんな状態かわからないのではないでしょうか?
正しい意味は、心臓血管系に重大な異常が生じたために、体全体に十分な酸素がいきわたらなくなった状態をいいます。
イヌがショック症状を示したらかなりの緊急事態です。
次のような兆候が見られたら愛犬がショック症状を起こしているとみなくてはなりません
ショック症状の兆候
さまざまな症状が見られるので見逃さないことが大切です。
ショック症状は放置すると死に至る危険があります。
ひどく元気がない
犬がひどく元気を失って動こうとせず、呼びかけなどにも反応しません。
全身が低酸素状態になっているので、元気が出なく動けないのです。
この状態はかなり危険なので、放置して状態が悪化すると意識を失うおそれがあります。
高熱が出て呼吸が荒い
犬に触れてみるといつもより体温が高く感じるようなら、熱が出ていると考えていいでしょう。
呼吸の荒さがすぐ目につくでしょう。
脈拍が速く、しだいに弱まっている。
体は酸素の量を増やそうとして、浅い呼吸を速く行っています。
それにともなって心拍数が上がっている状態です。
これについては放置すると脈が停止するおそれがあります。
いわゆる心停止です。
毛細血管の血流が低下している。
体の末端部分に血液が行かなくなっているため、手足や足のうら、皮膚が冷たくなり、歯ぐきや結膜などの血色が悪くなって白っぽく見えるようになります。
皮膚や足の裏にさわると冷たく感じるでしょう。
肛門から体温計を入れて直腸の温度を測ると37.8度以下になっています。
チェック方法
末梢血管再充填時間(CRT)という方法です。
やり方は簡単、チェックするには、 指で犬の歯ぐきを強く押してから離します。
白っぽくなった歯ぐきの色が1~2秒で赤い色にもどれば正常ですが、 すぐに血色がもとらなければシ ョック状態ということになります。
原因
重い感染症にかかったり、強いアレルギー反応が生じたときなどにも、イヌはショック症状を起こします。
出血性ショック
ショック症状を起こすもっとも大きな原因は大量の出血です。
出血性ショックはケガなどによって短時間に大量に出血してしまった場合、全身の血液量が不足するため、血圧が低下してしまいます。
これによって全身に血液を流すことができなくなり、ショックが起こるのです。
血圧の低下とともに意識がはっきりしなくなり、呼吸が早くなります。
さらに進むと意識を失って昏睡状態になります。
出血性ショックは時間の経過と共に進行していくことが特徴で、いきなり昏睡になってしまうものではありません。
しかし、適切な処置が行われなければ、どんどん進行して命の危険があります。
できる限り早期の段階で治療を開始することが求められます。
やけどによるショック
広範囲に重度のやけどを負ってしまうと、皮膚の血管から液体成分が大量に染み出てきてしまうため、血液の全体量が少なくなり、ショックに陥ってしまいます。
輸液の必要性があります。
また、やけどの場合は時間の経過後に症状が悪化することが多いので注意が必要です。
心不全によるショック
心臓の働きが悪くなって十分な血液を全身に送り出すことができなくなってしまう状態、心不全が考えられます。
心不全は心臓の機能低下によって、全身に十分な量の血液が送ることができなくなる病気です。
心不全は起こる前から兆候があります。
- 食べているのに体重が減る
- 散歩に行きたくなくなる
- 呼吸困難や咳
異変に気付いた地点で獣医師に見てもらいましょう。
心臓の不語気を改善する薬やむくみをとるための利尿剤などを投与します。
塩分の高い食べ物は心臓に負担がかかるのでできるだけ控えましょう。
アナフィラキシーショック
アナフィラキシーショックとはアレルギー反応によるショック症状です。
主にアレルゲンを食べる、飲む、吸い込む、などによって体内に入り込んだときに起こります。
症状
アナフィラキシーは、血圧が低下して意識が混濁し、脱力などを引き起こします。
このようなショック状態に陥る場合をアナフィラキシーショックと呼んでおり、すぐに対応しないと生命の危険を伴うこともあります。
特徴
敗血症性ショック、アナフィラキシーショックは末梢血管が拡張し、手や足は温かくなることからウォームショックと呼ばれます。
アナフィラキシーは、発症後、極めて短い時間のうちに全身性で複数の臓器
- 皮膚
- 粘膜
- 呼吸器
- 消化器
- 循環器
にアレルギー症状が出る反応です。
症状が出るまでの時間はアレルゲンや個体差によって違います。
薬物や蜂毒などは直接体内に入るため、早く症状が出る傾向があります。
これに対して、食べ物は胃や腸で消化され吸収されるまでに時間がかかるため、症状が出るまで薬物や蜂毒よりは時間がかかることが多いです。
また、アナフィラキシーは、一度おさまった症状が再びあらわれることもあります。
おさまったからと安心はせずに、すぐに病院に行くことが大切です。
熱中症によるショック
熱中症もショック状態になる原因のひとつです。
犬は体の温度を下げるために汗をかくことがありません。
体温が上がったら口で呼吸し、舌をだして唾液を蒸発させて体温を下げています。
あまり効率が良くないですね。そのため基本的に暑さには弱い生き物です。
夏の暑い時期には涼しい朝や夕方に散歩するようにしましょう。
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犬が車にはねられた場合
犬が車にはねられるなどによって大ケガをしてショック症状を示した場合には、止血などの救急処置をほどこし、なるべく動かさないようにして大至急、 獣医の診断・治療を受ける必要があります。
動物病院などに連れていくために動かす場合には、犬の体をむりのない姿勢で横たえるか、 あるいは水平になるように抱いて運びます。
ショック症状を起こした犬を放置しておくとただちに死亡します。