目の病気

白内障

白内障とは、目の水晶体の一部、または全部が白くにごる病気です。
進行すると視力が低下し、失明にいたることもあります。

黒目を見てみると中の白い部分が目立つようになり、肉眼でもわかるようになります。
犬にとって珍しくない眼疾患で、濁りが徐々に広がるにつれて視覚が奪われていきます。
一度濁ってしまうと水晶体は、元に戻ることはありません。

 

水晶体とは

 

水晶体とは、目の中でカメラのレンズのようなはたらきをする組織で、外からの光を集めてピントを合わせるはたらきを持っています。

どんな形?

両面がふくらんでいる「両凸レンズ」のようになっています。
カメラのレンズが透明であるように、この水晶体も透明になっています。

 

材質

水晶体は主にたんぱく質と水でできています。
たんぱく質は、加齢や、長年にわたり紫外線にさらされるなど、さまざまな影響を受けて、だんだんと変化し白く濁ります。
その結果、水晶体全体が濁り、視力の低下を招くことになります。

 

血管がありません

水晶体は、レンズの役割をしているので、透明な組織でできています。
そのため血管がとおっていません。

そのかわりに、房水という水晶体の周囲を透明な液体で満たして流動しています。

房水の役割
”血液の代役”となって、水晶体と角膜の新陳代謝を助けています。

水晶体に酸素と栄養を届けること

水晶体から排出された老廃物を受け取っている

 

盾の役割がある

水晶体には、「紫外線を吸収する役割」もあります。
紫外線A波が、できるだけ網膜に届かないように、「盾」の役割をして網膜を守ってくれているのです。

 

症状

初期の段階ではあまり自覚症状がない場合が多く、気が付きにくい病気です。
白内障は、進行しても基本的に痛みがありません。

水晶体は通常は透明な組織ですが、白内障では白く濁ってしまうため、集めた光がうまく眼底に届かなくなり、次のような症状が引き起こされます。

視界が全体的にかすむ

視界が暗くなる

視力が低下する

光をまぶしく感じる

暗いときと明るいときで見え方が違う

 

犬の行動の変化

水晶体がにごるため視力が悪くなります。
そのため、これらのような歩行時に異常が見られるようになるので、異常に気が付きやすいでしょう。

歩行がぎこちなくなる

よく物にぶつかる

階段などの段差につまずく

白内障は重度に進むと水晶体が破壊されることがあります。
そうなるとぶどう膜前部にひどく炎症が起こることがあります。

 

間違えやすい症状

 

角膜炎などで目の表面が白濁していたり、ブドウ膜炎などが原因で虹彩の表面が濁ることもありますが、これらは白内障とは別の症状になります。

 

 

白内障になりやすい犬種

犬の白内障は、その大部分が常染色体性劣性遺伝だといわれています。
遺伝が原因ということですね。

  • トイプードル
  • ミニチュアシュナウザー
  • アメリカンコッカースパニエル
  • ゴールデンレトリバー
  • ボストンテリア
  • シベリアンハスキー

 

原因

白内障の原因について大きく3つ

1.先天性白内障

犬の目が生まれつき水晶体がにごっていた場合。

若年性白内障と区別しています。
これは生後数ヶ月、そして数年たったまだ子犬のうちに白内障を発症する場合です。

2.加齢性白内障

白内障はさまざまな原因で起こりますが、最も多いのは加齢によるものです。

加齢性白内障は加齢によって、眼のカメラレンズの働きをしている水晶体に含まれるタンパク質の酸化が進み、白く濁ったり、硬くなったりすることで起こります。

なかには黄色や茶色っぽく濁ったりする場合もあり、最悪の場合失明に近い状況にまでいたります。

個人差がありますが、加齢性白内障は一種の老化現象ですから、高年齢になるほど多く発症します。

 

老化のメカニズム

動物は常に呼吸をし、呼吸によって体内に取り入れられた酸素は血液に入り、栄養分とともに細胞へと運ばれていきます。

酸素は細胞内で栄養分をエネルギーに変えるために必要不可欠のものですが、その過程で酸素に触れた細胞膜、DNAなどにダメージを与えます。
これが酸化です。
酸化した細胞は老化した状態であり、さまざまな病気につながっていくのです。

 

3.糖尿病

基礎疾患として糖尿病を持っている場合は、その合併症として白内障を併発することがあります。
また、加齢性白内障を発症している場合は、その進行が早くなる傾向があります。

 

外科的治療

手術白内障が進行し日常生活が困難となっている場合には、外科的治療を行います。

しかし、網膜の委縮が起こっている犬では白内障の手術をしても眼は見えないままであるため、手術前に網膜の状態についての詳しい検査を受ける必要があります。

また、糖尿病が原因の場合は、その治療が優先されます。

 

最初の精密検査

瞳が白くなってきた原因を調べるため犬の全身検査を受ける場合

血液検査
レントゲン検査
ホルモン検査等
約3~4万円
一般の眼科検査
眼圧検査
眼底検査
基礎神経学的検査
涙液量検査
角膜染色検査
超音波検査など
約1.5万円
特殊眼科検査
網膜電位図検査
スリットランプ検査
約2万円

このように最初の精密検査だけで、7万円程度の費用が必要です。

 

手術する場合

手術では、水晶体の白く濁った部分を取り除いてから、人工のレンズを入れるようになります。

 

人工レンズを入れる

手術日の2日前に入院する。

全身麻酔下で眼球の角膜に切開を加え、特殊な器械を使って水晶体を超音波により粉砕し、取り除き人工眼内レンズを挿入します。

術後の経過をみるために5~7日間の入院

 

退院後

例:エリザベスカラー

退院後は、運動制限と目を保護するためにエリザベス・カラーという保護具を1か月ほどつけます。
術後の1~2週間は1日に数回(4~5回)数種類の点眼薬と投薬

術後の回復にもよりますが治療1ヶ月後にはほとんどの投薬を終了します。

 

料金

片目で25~30万円、両目だと50万円
地域や病院によって違いますが料金の目安はこれくらいとなっています。

最近では、眼科を専門とする動物病院や獣医さんもいますので、経験豊富な専門医にかかることをおすすめします。

もし、外科手術する場合には、飼い主に経済的な負担がかなりのしかかります。
また、この過程を耐えられる性格の犬かどうかというのも、手術をする際の判断材料にしましょう。

 

若年性白内障の犬の場合

緑内障やぶどう膜炎といった、他の症状を併発していることもあるので、それによっては、手術の手順と料金が変わってきます。

 

内科的治療

視力がまだ失われていない場合には、点眼薬や内服薬で進行を抑える内科的治療を行います。

薬は少しづつ確実に進歩しています。
人間の白内障のお薬が開発されればペット用としても登場することになります。

進行する前に使用すれば、かなりの違いがあるはずです。

 

クララスティル


白内障の治療点眼薬です。
早めに症状に気がつけば早く処置できます。
結果も大きく違ってくるはずです。

 

C-NAC

白内障治療薬クララスティルのジェネリック薬

成分は同じ

用量は二倍

お値段そのまま

カタリンK点眼用

犬用の老年性初発白内障治療薬です。
カタリンK点眼用は、水晶体が濁るのを抑え、犬における白内障の治療に用いる目薬です。

 

予防

糖尿病にならない
肥満になると糖尿病になる確率があがります。
ペットの健康管理に気を付けましょう。

早期発見
ペットの目を見ると白くなってきているのがわかるはずです。
気を付けて見てみましょう。
初期段階であれば目薬で進行を食い止めることができます。

 

健康保険がないペットが手術になったとき、飼い主さんには高額な医療費が負担となります。

ペットにも保険があるので検討しておくのも良いと思います。

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